山羊関節炎・脳脊髄炎の新しい診断法

タイトル 山羊関節炎・脳脊髄炎の新しい診断法
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 動物衛生研究所
研究期間 2006~2007
研究担当者 小西美佐子
白藤浩明
木村久美子
播谷 亮
亀山健一郎
村上賢二
発行年度 2010
要約 大腸菌で発現させた山羊関節炎・脳脊髄炎ウイルスコア蛋白質を抗原としたウエスタンブロット法は、現行の診断法である寒天ゲル内沈降試験と同等の精度を有し、山羊関節炎・脳脊髄炎の確定検査に使用可能である。
キーワード 山羊関節炎・脳脊髄炎、診断法、大腸菌組換え蛋白質、ウエスタンブロット法
背景・ねらい 山羊関節炎・脳脊髄炎ウイルス(CAEV)は、山羊に終生感染し、関節炎、乳房炎、肺炎や脳脊髄炎を引き起こす。同ウイルス病は治療法がないため、定期的に抗体検査や遺伝子検査を実施し、感染個体を早期に摘発・淘汰することが非常に重要である。現在わが国で抗体検査に用いている寒天ゲル内沈降試験(AGID)は、操作が簡便である一方、弱陽性の判定に習熟を要し、抗原作製に大量のウイルス液が必要といった短所がある。本研究ではAGIDに比べ、判定および抗原調製が容易な抗体検査法を開発する。
成果の内容・特徴
  1. CAEVのコア蛋白(GAG)をコードするgag遺伝子を大腸菌でクローニングすることにより、GAGの前駆体であるPr55gagの組換え蛋白質rPr55gagを作製できる(図)。
  2. rPr55gagおよびウイルス液を濃縮精製した抗原(wCAEV)は、いずれもウエスタンブロット法(WB)とELISA法の抗原として使用できる。
  3. wCAEVを用いたWB(wWB)は、感度・特異性が高いため、抗体検査の確定診断として非常に有用であるが、AGIDと同様に、抗原作製に非常に手間がかかる。
  4. wWBの結果をもとにrPr55gagとwCAEVを抗原としたELISA法(rELISAおよびwELISA)の感度と特異度を求めると、いずれの方法もwWBより低い(表)。
  5. 一方、AGIDとrPr55gagを抗原としたWB(rWB)の感度・特異度は、wWBに次いで高く、また両者の精度はほぼ同等である(表)。
  6. rWBでは、図bで示した特異的なバンドの有無を確認することで、血中抗体の存在を容易に判定することができる。また、組換え蛋白質であるrPr55gagは、wCAEVより容易に作製できる。従ってrWBは、AGIDでの判定が困難である場合の確定検査として有用である。
成果の活用面・留意点 本研究で開発したrPr55gagを抗原としたウエスタンブロット法により、AGIDで判定が困難な弱陽性の検体の確定検査が可能となる。
図表1 234568-1.png
図表2 234568-2.png
カテゴリ 治療法 山羊

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