タイトル |
鶏コクシジウムの全国浸潤状況(2007年1~3月) |
担当機関 |
(独)農業・食品産業技術総合研究機構 動物衛生研究所 |
研究期間 |
2006~2006 |
研究担当者 |
中村義男
金平克史
磯部 尚
神尾次彦
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発行年度 |
2010 |
要約 |
2007年1~3月期において肉用鶏農家の7割、採卵鶏農家の5割にコクシジウムが浸潤している。肉用鶏農家では採卵鶏農家に比べて中型種および大型種コクシジウムの検出率が高く、大型種検出率は25年前と比べて倍増している。
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キーワード |
鶏、コクシジウム、浸潤状況、疫学調査
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背景・ねらい |
鶏コクシジウム症は血便や下痢を主要症状とする原虫病であり、とりわけ肉用鶏農家で問題となる。しかしながら、鶏コクシジウム浸潤状況の全国的な調査報告は1994年以来なされていない。そこで、糞便検査と聞き取りによる調査を各家畜保健衛生所の協力の下に実施する。
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成果の内容・特徴 |
- 41都府県において2007年1~3月に肉用鶏農家184戸および採卵鶏農家96戸について各農家1鶏舎の5箇所から糞便を採取して検査した結果、コクシジウム陽性率は肉用鶏農家72%、採卵鶏農家49%で、肉用鶏農家がより高い。肉用鶏農家のコクシジウム陽性率は、1990年代前半の陽性率(67~81%)とほぼ同様の値である。
- 糞便1gあたりに検出されるコクシジウム数は、採卵鶏農家検体に比べ肉用鶏農家検体で大きいが、両農家の検体の多くが1,000個以下であり、概して低い(表1)。
- 肉用鶏農家においてはウインドウレス鶏舎使用農家が開放鶏舎使用農家に比べて、また、採卵鶏農家においては屋内ケージ飼い農家が屋内平飼い農家および屋外放し飼い農家に比べて、コクシジウム陽性率が低い。
- コクシジウムを大きさにより小型種、中型種、大型種に簡易鑑別すると(図1)、肉用鶏農家が採卵鶏農家に比べて中型種および大型種の検出率が高い(図2)。肉用鶏農家の大型種検出率は1982年から倍増している。
- 聞き取り調査の結果、肉用鶏農家におけるコクシジウム予防薬およびコクシジウムワクチンの使用率は順に約3割、2割である。使用される予防薬は主にポリエーテル系抗生物質である。
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成果の活用面・留意点 |
- 各地における鶏コクシジウム浸潤状況の考察や対策を検討する際に、今回の全国調査結果を比較基準として活用できる。
- 大型種検出率が25年間で倍増した点については、国内にいないとされていた大型種アイメリア・ブルネッティが国内に侵入、定着したことが一因と考えられる。コクシジウムは種が異なると免疫が成立しないことから、型別検出率の定期的調査が今後も必要である。
- 予防薬使用と回答した肉用鶏農家が3割に留まったことから、使用飼料にコクシジウム予防薬が含まれていることを把握していない農家があると考えられる。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
鶏
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