農業分野への知的障がい者の参入・受入プロセス遵守の重要性

タイトル 農業分野への知的障がい者の参入・受入プロセス遵守の重要性
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 農村工学研究所
研究期間 2008~2010
研究担当者 坂根 勇
唐崎卓也
山下 仁
片山千栄
石田憲治
発行年度 2010
要約 農業分野への知的障がい者の円滑な参入・受入の実現のためには、主体、客体、場所並びに順序に着目して整理すると、準備、募集・採用、定着の段階を踏んだ取組が有効である。
キーワード 知的障がい者、ノーマライゼーション、多様な人材、参入・受入プロセス
背景・ねらい 農業の担い手不足や農村地域の活力低下などへの対応策として、農業分野での多様な人材が活躍できる環境づくりの必要性が高まってきている。本成果は、このような環境づくりの一つとして、「農村地域におけるノーマライゼーション」をどのような関係者がどのような手順や方法で取組・連携すれば推進できるのか、について農業分野での知的障がい者の就労を具体例として、それらのプロセスを模式化したものである。
成果の内容・特徴
  1. 農業と福祉の分野連携により、知的障がい者が農業分野で就労を実現できた取組事例を分析すると、「雇用vs福祉的就労」と「既存農業法人等での受入vs福祉施設等の農業への参入」との2つの軸により就労のタイプを類型化できる(図1)。
  2. 図1中の多数事例である既存農業法人等で雇用の受入れを行うタイプ(Ⅰ型)に属する事例及び延べ15地区での実証について分析すると、手順を追った段階的なプロセスとして準備、募集・採用、定着の3つのステップが模式化できる(図2)。
  3. 模式図では、プロセスのステップ毎に、ほ場等での活動の場面で誰が誰に実施や支援を働きかけるかを矢印で表記している(図2)。
  4. 障がい者と農家等の双方や関係者の意識を高め、理解を促すステップ1として参入・受入の前に「意識啓発」や「訓練・研修」を実施することが重要であり、このことは後の雇用・定着へと繋がる不可欠なプロセスで、軽視できない(図2)。
  5. ステップ2では、実地の場所での「職場実習」や個々の就労者の能力・特徴に応じた「雇用条件の検討」等雇用の実現に向けた具体策の提示が必要である。雇用後のステップ3では、定着と自立に向けての支援を引き続き行い、徐々に支援の程度を薄めて自立に到達する(図2)。
  6. これらプロセスと場面ごとに必要な支援のための多数のノウハウや情報については、図2の写真で例示するような事項があり、これらをマニュアルの形式にとりまとめ、都道府県の普及組織や福祉団体等に対し、要望に応じて3,700部配布している(図3)。
成果の活用面・留意点
  1. 障がい者の農業分野での参入・受入により、障がい者にとっては、就労の場が確保され社会参加が促進される一方、農業分野にとっては、農業振興や農村活力の向上につながることが期待できる。
  2. 知的障がい者の受入に際しては、個々人の障がいの種類や程度に配慮して、支援者の福祉面での知見を参考にしながら進める必要がある。
  3. 紹介したプロセス及び関連情報は「農業分野における障害者就労マニュアル」としてとりまとめ、冊子及びウェブサイトで提供中である。
図表1 234577-1.png
図表2 234577-2.png
図表3 234577-3.png
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