アクリルアミド分析のためのほうじ茶標準物質

タイトル アクリルアミド分析のためのほうじ茶標準物質
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 食品総合研究所
研究期間 2006~2010
研究担当者 小野裕嗣
吉田 充
発行年度 2010
要約 代表的なアジア型食品のひとつである緑茶(ほうじ茶)のアクリルアミド分析の内部質管理に使用できる組成標準物質を作成した。試験室の質保証向上とアクリルアミド分析法の改良に利用できる。
キーワード アクリルアミド、ほうじ茶、標準物質
背景・ねらい アクリルアミドは、高温加熱によるメイラード反応の一部として、もともと食品中に含まれるアスパラギンと還元糖の反応によって食品中に生ずる物質であり、動物試験では神経の形態への影響や遺伝毒性、発がん性が認められている。FAO/WHO合同食品添加物専門家会合(JECFA)での評価の結果、その毒性と食品からの暴露量からすると、アクリルアミドがヒトの健康に悪影響を及ぼす懸念があるとされている。国際的に、アクリルアミドの摂取に寄与する主な食品として、フライドポテト、ポテトチップス、コーヒー、ビスケット、パンがあげられている。この摂取量推定の根拠となった食品のアクリルアミド含有量に関するデータの大部分は、欧州や北米から報告されたものであるが、日本でも摂取量推定を行ったところ、日本人も欧米人とほぼ同程度の量のアクリルアミドを摂取していると推定されている。
日本やアジア地域で食される食品は欧米の食品とは異なるものが多いことから、アジア独特の食品についても、精確にアクリルアミド濃度を測定し、必要に応じ低減策を検討していくことが重要である。また、そのための分析の内部質管理(内部精度管理)に利用できる日本やアジアの食品をマトリックスとした標準物質の供給が望まれていることから、ほうじ茶の標準物質を開発したものである。
成果の内容・特徴
  1. 頒布している組成標準物質は表1に示した参考値が付与された2種類で、ともに約30gのほうじ茶葉の粉末がアルミ積層チャック付スタンディング袋に真空封入されており、5℃以下で冷蔵保存されている(写真1)。
  2. 参考値は、NFRI-AA001aは8試験室、NFRI-AA001bは6試験室による共同試験により報告された測定値を統計的に処理して決定し、不確かさは、共同試験で得られた測定値の標準不確かさの2倍(包含係数k=2)の拡張不確かさとしている(表1)。
  3. 本標準物質の製造工程(参考値付与の工程を除く)を図1に示している。製造時にアクリルアミド試薬の添加は行っていない。
  4. 標準物質NFRI-AA001bの製造には、摘採した茶葉を一日生葉のままコンテナに貯蔵して、アクリルアミドの生成要因となるアミノ酸含量を増加させる処理を行っている。
成果の活用面・留意点
  1. 本標準物質は、ほうじ茶など焙煎食品のアクリルアミド分析法の改良と、分析を行う試験室の質保証向上に利用できる。
  2. 配布を希望する機関には、原則として1機関1セットを提供する。
  3. 本標準物質を使用して内部質管理を行った結果を指定様式にて報告を受けることで、今後のアクリルアミド分析の質管理と方法の改良のための研究情報として活用する。
図表1 234611-1.png
図表2 234611-2.png
図表3 234611-3.png
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