タイトル |
贈答用果物の販売ターゲットは地元消費者 |
担当機関 |
(独)農業・食品産業技術総合研究機構 東北農業研究センター |
研究期間 |
2008~2010 |
研究担当者 |
磯島昭代
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発行年度 |
2010 |
要約 |
果物の家計消費が長期的な減少傾向にある中で贈答用果物への支出は一定水準を維持しており、その市場規模は約2,670億円と推計される。特に、果物生産地における地元消費者の贈答利用が顕著であり、果物の販売ターゲットのひとつとして重要である。
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キーワード |
家計調査、交際費支出、果物、贈答、地元消費者
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背景・ねらい |
果物の供給過剰が続き、輸入果物が低価格の大衆果物として定着する中で、国産果物は高品質化による価格の上昇を狙って、高級果物市場に生き残りの道を求めている。高級果物の販売チャネルとしては、有力市場への出荷以外に、宅配便等を利用した贈答用販売を考えることができる。そこで、家計における贈答用果物の位置づけを明らかにするとともに、品目や地域別の特徴を明らかにする。
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成果の内容・特徴 |
- 家計調査(総務省)の「品目分類」と「用途分類」の差額から2008年の1ヶ月あたりの果物における交際費支出(以下、果物交際費)を算出すると、単身世帯で291円、二人以上世帯で522円となる(表1)。平成17年国勢調査(総務省)より単身世帯数(約1,450万)、二人以上世帯数(約3,460万)を用いて1年間の支出総額を求めると、贈答用果物の市場規模は約2,670億円と推計される。
- 1970~2008年の果物支出の推移では、果物全体への支出が長期的な減少傾向にある中で、果物交際費はほぼ一定額を保っており、果物支出に占める交際費の割合(以下、交際費割合)が高まっている(図1)。
- 月ごとに交際費割合が50%を超える都市として、青森市(11・12月)、盛岡市(12月)、山形市(6・7・11・12月)、福島市(8・9・12月)、甲府市(8・9月)、長野市(12月)、鳥取市(9月)、岡山市(8月)の8都市があげられる。それぞれの月においてその都市で主に購入される果物は、青森市・盛岡市・長野市はリンゴ、山形市はサクランボ・ナシ・リンゴ、福島市はモモ・ナシ・リンゴ、甲府市と岡山市はブドウ・モモ、鳥取市はナシである(図2)。
- これら8都市で交際費割合が高まる時期に主に購入される果物は、各都道府県における産出額が全て5位以内に入っている(表2)。
- 和歌山県・静岡県・愛媛県のミカン、長野県のブドウ、茨城県の日本ナシ、茨城県と北海道のメロン、和歌山県と長野県のモモ、岐阜県のカキ、愛媛県のイヨカンは、当該品目への支出が最も多い時期に交際費割合が3割を超えており、各都道府県において産出額の高い品目を各主要都市の消費者が贈答用として購入する傾向がみられる(表2)。すなわち、果物の贈答利用は果物生産地の地元消費者によって顕著になされており、地元消費者を意識した贈答用果物を含む販売戦略を立てることが重要である。
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成果の活用面・留意点 |
- 果物の販売戦略を考える際の参考になる。また、果物の消費拡大策を考える際の参考となる。
- 交際費は「贈答用品及び接待用支出」であるが、ここでは贈答用支出と捉えている。
- 市場規模は家計調査による算出であるため、法人による贈答用支出は含まれない。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
伊予柑
かき
出荷調整
消費拡大
日本なし
ぶどう
メロン
もも
りんご
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