タイトル |
輸送中の物理的障害を75%軽減できるイチゴ包装容器 |
担当機関 |
(独)農業・食品産業技術総合研究機構 九州沖縄農業研究センター |
研究期間 |
2008~2009 |
研究担当者 |
曽根一純
伊東良久
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発行年度 |
2010 |
要約 |
開発した包装容器は伸縮性フィルムを展張した合成樹脂製の外装と汎用ホールトレーからなり、イチゴ等の軟弱果実の輸送に適する。従来の包装容器に比べ、果実の物理的傷害を1/4以下に軽減でき、簡易な包装形態による新たな販売体系の構築が可能である。
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キーワード |
イチゴ、包装容器、輸送、傷み軽減、多様な販売形態
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背景・ねらい |
イチゴの輸出に関しては、東アジア諸国向けを中心に贈答用大玉果実の需要が増加している。しかし、輸出にはウレタンを敷いたトレーもしくはホールトレーに1段平詰め仕様等の国内出荷と同様の包装形態で行われるため、国内でのトラック輸送、航空機の離着陸や粗雑な荷扱い等の輸送過程で生じる物理的傷害が問題となっている。そこで、これらの物理的傷害を抑え、より品質が保持できる包装資材を開発する。
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成果の内容・特徴 |
- 本包装容器は合成樹脂製の容器の内側に伸縮性フィルムを展張し、伸縮性フィルムにより果実とホールトレーを挟み込むように固定することで果実の動きを抑制し、輸送中の果実の傷みを軽減する(図1)。
- 専用のトレーを必要とせず、市販の各種ホールトレー(23.5cm×16.5cm程度)をそのまま用いる(図1)。
- 実輸送試験の結果、従来の平詰めスポンジ敷き仕様と比較して、トレー接触面側の押し傷等による物理的傷害程度を大幅に軽減でき、傷み程度を示す溶出液電気伝導度は1/4以下に低下し、商品性の低下を最小限に抑えることができる(表1)。なお、糖度、酸度、硬度、果皮色の果実品質については、包装形態の違いによる有意差は認められない(データ略)。
- 容器自体が外装を兼ねているので、従来の段ボール等を利用した輸送形態よりも、より簡易な外装での発送が可能である(図2)。
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成果の活用面・留意点 |
- さまざまな陳列形態に対応可能で、アイデアを活かした販売スタイルが提供でき、これまで対応が難しかったお土産、観光農園等の持ち帰り需要やインターネット等を用いた直販に、より柔軟に対応可能である。さらに、これまで以上に広域流通に対応できるので、海外輸出を含め、販路拡大につながる(図2)。
- トレー内の果実同士の接触は、接触面に傷みを生じる原因となるので、果実の大きさ、品種毎の果実の形状に対応したホールトレーを用いる。
- イチゴ以外のオウトウ等の軟弱果実にも、容器のサイズ、トレーの変更により対応できる。
- 本包装容器は、日本トーカンパッケージ(株)から販売されており、希望小売販売価格は200円/個である。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
いちご
おうとう
出荷調整
品種
輸出
輸送
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