ヒメトビウンカ海外飛来後の九州地域における薬剤感受性の動向

タイトル ヒメトビウンカ海外飛来後の九州地域における薬剤感受性の動向
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 九州沖縄農業研究センター
研究期間 2008~2010
研究担当者 真田幸代
作本信次
大津礼子
大塚 彰
松村正哉
発行年度 2010
要約 2008年のヒメトビウンカの海外飛来以降、飛来が確認された九州や山口県の広い地域でイミダクロプリド感受性低下個体群が国内で初めて確認された。さらに、福岡県や熊本県の個体群ではフィプロニルとイミダクロプリドの両薬剤に感受性が低下している。
キーワード ヒメトビウンカ、海外飛来、イミダクロプリド、フィプロニル、薬剤感受性
背景・ねらい 2008年6月に中国・江蘇省から九州西岸地域にイミダクロプリドに対する感受性が低下したヒメトビウンカ個体群が多飛来した(Otuka et al., 2010)。飛来が起こる前までは、九州の土着個体群ではフィプロニルに対する感受性の低下が報告されているが、イミダクロプリド感受性低下は報告されていない。イミダクロプリドとフィプロニルは水稲栽培用箱施薬剤として国内で最も頻繁に利用されている。そのため、飛来によって異なる薬剤に感受性が低下した個体群の間で交雑が起こり、両薬剤に抵抗性形質を持つ個体群の出現が懸念される。そこで九州地域を中心に、海外飛来後のヒメトビウンカのイミダクロプリドとフィプロニルに対する薬剤感受性の動向を把握する。
成果の内容・特徴
  1. これまでの国内薬剤感受性に関する研究報告などから、イミダクロプリドとフィプロニルにおける感受性個体群のLD50値は0.1μg/g程度と考えられる。2008年6月に起こった海外飛来後、その年の9月までに採集した個体群で薬剤感受性検定を行った結果、長崎県・山口県の海岸部では飛来個体群と同じく、イミダクロプリドにだけ感受性低下がみられる(図1)。この地域は土着個体群の密度がもともと低くかったことから、飛来個体群がそのまま定着していると考えられる。一方、福岡県・熊本県の内陸部ではイミダクロプリドとフィプロニルの両薬剤に感受性低下がみられる(図1)。この地域では飛来個体群と土着個体群が交雑した結果、両薬剤に対して感受性低下した個体群が新たに形成されていると考えられる。
  2. 越冬後の2009年3~6月に九州各地で採集した個体群の薬剤感受性は、前年(図1)とほぼ同じ水準を維持している(図2)。
  3. 2008年の海外飛来の影響がなかったと考えられる北海道、栃木県の個体群ではイミダクロプリドに対する感受性低下は見られない(図3)。栃木県の個体群ではフィプロニルに対する感受性低下が認められる。
成果の活用面・留意点
  1. 海外飛来後の薬剤感受性の動向は、ヒメトビウンカの防除薬剤選定の際に必要不可欠な情報となる。
図表1 234810-1.png
図表2 234810-2.png
図表3 234810-3.png
カテゴリ 病害虫 水稲 抵抗性 ヒメトビウンカ 防除 薬剤

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