高水分籾でも連続した処理ができるインペラ式籾摺機

タイトル 高水分籾でも連続した処理ができるインペラ式籾摺機
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 生物系特定産業技術研究支援センター
研究期間 2008~2010
研究担当者 日髙靖之
野田崇啓
横江未央
(株)大竹製作所
(株)山本製作所
発行年度 2010
要約 高水分籾を供した場合に糠付着による詰まりや選別物の機内滞留を生ずることなく連続処理が可能なインペラ式籾摺機。籾水分が28.4 ~17.3%w.b.の範囲で、脱ぷ率は90%~97%で、この時の処理能力は847kg/h~1068kg/hである。
キーワード インペラ籾摺機、高水分籾、脱ぷ率、新規需要米
背景・ねらい 新規需要米は主食用よりも低価格で取引されるため低コスト生産技術の研究開発が進められており、その中で乾燥調製法については、圃場での立毛乾燥を前提とした研究開発が試みられている。圃場での立毛乾燥では停止水分が制御できないため、通常の乾燥処理した籾よりも、平均水分が高く、水分分布の広い籾を対象に調製する必要が出てくることが考えられる。籾水分が高い場合、一般的にロール式籾摺機では脱ぷ率が著しく低下するのに対して、インペラ式籾摺機では脱ぷ率は高く維持できることが知られている。しかしながら、市販インペラ式籾摺機で高水分籾を乾燥籾と同程度の処理量で処理した場合は、糠の付着によるパイプの詰まり(図1a)や選別物の機内滞留(図1b)等が発生することから、市販機の使用を想定した場合、多くの問題点が出てくることが示唆される。
そこで、高水分籾でも従来の籾摺りと同程度の処理量で連続して籾摺作業ができるインペラ式籾摺機を開発する。
成果の内容・特徴
  1. 本機は高水分籾を連続的に処理するため、1)糠付着によるパイプの詰まりを回避するために、脱ぷパイプ径を市販機より太くする、2)パイプのエルボ角を緩やかに設定、3)被選別物の機内滞留を防ぐために、選別板1にフッ素樹脂をコーティングする、4)選別板2の角度を38°から55°に変更、5)バケットエレベータでの穀粒搬出を円滑にするために、選別板2からの角度を維持したシュートを採用、6)脱ぷ率を適正に調整するために、インバータによりインペラファンの回転数が変更できる等の特徴を有したインペラ式籾摺機である(図2、表1)。
  2. 籾水分が17.3~28.4%w.b.の範囲で、脱ぷ率は90~97%であり、この時の処理能力は847~1068kg/hである(表2)。20%w.b.を超える高水分籾を4000kg以上籾摺りした後も糠の付着や機内残留はほとんどなく、連続した処理が可能である。
成果の活用面・留意点
  1. 2011年度市販化の予定。本機は新規需要米の生産者が、新規需要米を人工乾燥せずに調製する際に通常のインペラ式籾摺機と同じ感覚で使用できる。ただし、高水分の米は脱ぷ後すぐに使用しない場合は貯蔵できないため乾燥等の作業が必要である。
  2. 枝梗付着粒の多い籾では脱ぷ率が低下するため、インバータでインペラファンの回転数を上げることにより改善できる。なお、その場合砕粒が増える。
  3. 品種あるいはロット毎に処理する場合など、混入を防止したい場合はバケットエレベータ下部の掃除口から残留物を掃除する必要がある。
図表1 234825-1.png
図表2 234825-2.png
図表3 234825-3.png
図表4 234825-4.png
カテゴリ 乾燥 市販化 低コスト 品種

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