広域水収支モデルにより天水田地帯の水稲作付面積を推定する

タイトル 広域水収支モデルにより天水田地帯の水稲作付面積を推定する
担当機関 (独)農業環境技術研究所
研究期間
研究担当者 石郷岡康史
桑形恒男
長谷川利拡
鳥谷 均
後藤慎吉
澤野真治
大野宏之
発行年度 2010
要約 広域水収支モデルで得られる地表面飽和面積の年々変動から、水稲作付面積の年々変動を推定できることを明らかにしました。予測される気候変化に伴う地表面水循環過程の変化が天水田地帯の水稲生産に与える影響の評価に利用できます。
背景・ねらい 東南アジア等に広く分布する天水田地帯における水稲栽培は、作付開始時期や可能面積が気象条件に大きく依存するため、その生産量は年々の気候変動のみではなく、将来予測されている気候変化により大きく影響され、国際的な食料需給関係に影響する可能性があります。そこで、天水田が大半を占める東北タイを対象に、一般的な気象データから広域水収支が算定できるモデルを構築し、モデルから得られる地表面飽和面積を使用した水稲作付面積推定の可能性について検討しました。
成果の内容・特徴 構築したモデルは0.05°×0.05°(約5km×5km)の解像度のグリッド(格子)単位で水収支が算定できる分布型水文モデルであり、地形や土壌物理性の情報と、日別の気温、降水量、日射量、湿度、風速から、蒸発散量や層別の土壌水分量、地下水位等が計算できます。その際、グリッド内の詳細な地形情報を指標化することにより、グリッド内の土壌水分の不均一性や地表面飽和領域の面積(飽和面積)を算定できます(図1)。
1979年から2005年までの期間についてモデルを実行し、得られた飽和面積を東北タイの天水田地帯について旬ごとに集計し、統計資料から得た各年の作付面積と比較した結果、8月中旬の飽和面積と作付面積の相関が最も高くなることがわかりました(図2)。これは、この地域では日長感応性が強い品種が作付されており、水稲作付は遅くとも8月末頃までに実施する必要があることを反映していると考えられ、この時点での飽和面積により水稲作付面積が適切に推定できる可能性が示されました。
成果の活用面・留意点 本研究は、環境省環境研究総合推進費「S5地球温暖化に係る政策支援と普及啓発のための気候変動シナリオに関する総合的研究」、文部科学省国家基幹技術「海洋地球観測探査システム」による成果です。
図表1 234871-1.jpg
図表2 234871-2.jpg
カテゴリ 水田 水稲 品種

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