西アフリカサヘル地域におけるMother-Baby手法を用いた肥沃度管理技術の普及可能性の評価

タイトル 西アフリカサヘル地域におけるMother-Baby手法を用いた肥沃度管理技術の普及可能性の評価
担当機関 (独)国際農林水産業研究センター
研究期間 2008~2009
研究担当者 大前 英
林 慶一
Ibro Germaine
発行年度 2010
要約 サヘル地域で普及確度の高い技術は、トウジンビエとササゲの間作、トウジンビエ脱穀残さ、家畜糞尿の利用や化学肥料との併用である。普及可能性は技術の有効性と投入資材の入手しやすさによって決定される。
キーワード Mother-Baby手法、サヘル、間作、脱穀残さ、家畜糞尿
背景・ねらい 西アフリカサヘル地域では社会的インフラの未整備、農業資材の不足、資金の不足や新技術に対する拒否反応といった文化的背景の違い等様々な制約条件が技術普及を困難にしている。当センターではこれまで、サヘル地域の土壌肥沃度管理に関する個別技術を開発・検証してきたが、これらの技術が農家に受け入れられるかどうかは未確認のままであった。そこで、Mother-Baby手法を用いて肥沃度管理技術の普及可能性を評価し、普及可能性を決定する要因を特定する。
成果の内容・特徴
  1. Mother-baby手法は、研究者がMother圃場で展示・実証する技術に応じて、農家が自ら選択した技術を、自(Baby)圃場で試行する手法である。自圃場での技術の選択および試行割合の推移により普及可能性が評価できる。
  2. 土壌肥沃度管理に関する個別技術を3年間、Mother圃場で展示・実証する。農家はそれらの技術の有効性を、自圃場での試行により学習・確認・適正化する(図1)。
  3. 自圃場では化学肥料の単独施用とトウジンビエ単作を選択・試行する農家が大きく減少し、トウジンビエとササゲの間作、トウジンビエ脱穀残さ、家畜糞尿の利用や化学肥料との併用を試行する割合が増える。試行割合が増加した技術の普及可能性は高いと評価できる(図2)。
  4. 自圃場で化学肥料を試行する農家が制限される理由は、化学肥料を購入する現金の不足による。
  5. 脱穀残さ施用を試行する農家の自圃場は、すべてトウジンビエが実際に脱穀される場所の約500m以内にある。
  6. 農家にとっての家畜の有無は、家畜糞尿に関わる技術の採択・試用に有意に影響する。
  7. 72%のBaby農家が脱穀残さや家畜糞尿施用の効果を評価している。また79%の農家が量、現金、および運搬するための手段の確保がさらなる技術普及につながると考えている。
  8. 上記より、技術の普及可能性は、技術の有効性を農家自身で学習・確認・適正化すること、家畜糞尿やトウジンビエ脱穀残さなどの投入資材が身近にあることによって高まる。
成果の活用面・留意点
  1. Mother-Baby法を用いることで、比較的複雑・高度な技術についても複数年の活動を通して学習することが可能である。また堆肥施用をコラリングで代用するなど、研究者が提案した技術に対して農家が工夫できる余地を持つ。
  2. 農家(Baby)圃場での技術トライアルは、農家の自主選択、自主運営を100%任せることにより、技術の普及可能性が評価できる。
図表1 234909-1.png
図表2 234909-2.png
カテゴリ 肥料 管理技術 ささげ

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