タイ国で収集したエリアンサス属植物遺伝資源の特性評価と分類

タイトル タイ国で収集したエリアンサス属植物遺伝資源の特性評価と分類
担当機関 (独)国際農林水産業研究センター
研究期間 2002~2010
研究担当者 田金秀一郎
杉本 明
寺島義文
江川宜伸
伊敷弘俊
佐藤光徳
伊禮 信
Werapon Ponragdee
Taksina Sansayawichai
Amarawan Tippayawat
発行年度 2010
要約 タイ国で収集したエリアンサス属植物の遺伝資源は、形態や開花期、乾物生産等の農業特性において多様な変異を示す。これらは、Erianthus procerusおよびE. arundinaceusの2種を含み、E. arundinaceusについてはさらに3つの類型に分類できる。
キーワード エリアンサス属植物、Erianthus procerusE. arundinaceus、遺伝資源、分類
背景・ねらい 世界の食糧・エネルギー需給逼迫の緩和には、既存の食料作物の生産が困難な地域において、食料とエネルギーの同時的増産を可能とする糖質・繊維質作物の開発が必要である。サトウキビの近縁属植物であるエリアンサス属植物は、少雨等の厳しい自然環境下への適応性が高いことが知られており、サトウキビ改良等の育種素材として世界的に注目されている。国際農林水産業研究センター(JIRCAS)は1997年から2010年までタイ農業局コンケン畑作物研究センター(KKFCRC)と共同で、タイ全土を対象にエリアンサス属遺伝資源の収集と保存を実施してきた。今後のエリアンサスの利用促進には特性評価と遺伝的多様性の分析が必要であるが、その整備は進んでいない。そこで、KKFCRCに保存しているタイ国エリアンサス遺伝資源の特性評価と分類を実施する。
成果の内容・特徴
  1. 収集した遺伝資源は、葉梢の毛群やロウ質物、芽のサイズや根基数等の形態特性や開花期、染色体数、生育環境等から2種(Erianthus procerusおよびE. arundinaceus)に分類される。E. arundinaceusについてはさらに3つの類型に分類される(図1)。
  2. E. procerusはタイ北部から東北部、E. arundinaceusの類型Ⅰはタイ中部以北(インドシナ半島)、類型Ⅱはタイ南部(マレー半島)、類型Ⅲは中西部や北部、東北部に分布する(図1)。
  3. E. arundinaceusの類型Ⅲは開花期が10~11月と早く、E. procerusは12~1月と遅い。E. arundinaceusの類型Ⅰ、類型Ⅱのはその中間である。(図1) 。
  4. 保存中の系統にはE. procerusE. arundinaceusの類型Ⅰが多く、類型Ⅱや類型Ⅲに属する系統は少ない(図1)。
  5. E. arundinaceusには、干ばつが厳しい東北タイにおいて対照として供試したネピアグラスやサトウキビ品種より多回株出し栽培での乾物生産力が優れる系統がある(図2)。
成果の活用面・留意点
  1. タイ国におけるエリアンサス属植物の収集・保存および育種利用促進に際して基礎となる情報である。
  2. 保存数が少ないE. arundinaceusの類型Ⅱや類型Ⅲは、今後重点的に収集する必要がある。
  3. 乾物収量の成績(図2)は、小面積での栽培試験の結果である。
  4. タイ国内のみならず、世界的な視点でエリアンサスの分類を整備していく必要がある。
図表1 234913-1.png
図表2 234913-2.png
図表3 234913-3.png
カテゴリ 育種 遺伝資源 さとうきび 品種

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