東北地方太平洋岸沖におけるイトヒキダラ加入量の経年変化の把握

タイトル 東北地方太平洋岸沖におけるイトヒキダラ加入量の経年変化の把握
担当機関 (独)水産総合研究センター 東北区水産研究所
研究期間 2009~2009
研究担当者 服部 努
成松庸二
伊藤正木
発行年度 2010
要約 東北地方太平洋岸沖(東北海域)においてイトヒキダラの体長組成の経年変化を調べた結果、小型魚の加入は毎年認められるわけではないこと、加入は東北海域南部(宮城~茨城県沖)で起こり、イトヒキダラは成魚に達するまで当海域を生育場として利用していることが明らかとなった。既往の知見では本種の生育場はオホーツク海とされていたが、東北海域南部にも生育場が存在することが明らかとなった。
背景・ねらい チゴダラ科に属するイトヒキダラ(図1)は、主に沖合底びき網漁業により宮城県の石巻港に水揚げされ、練り製品の原料として用いられている。一方、北海道および東北地方の太平洋岸沖ではロシアによる漁獲が行われ、本種の精度の高い資源評価が求められている。
成果の内容・特徴 1995~2007年の秋期に東北海域において着底トロール調査を行い、イトヒキダラの体長組成の経年変化を調べた(図2)。当海域において、成魚は毎年観察されたが、体長10cm以下の小型魚が多数出現したのは4ヶ年のみであった。加入は、東北海域南部で多く、北部で少なかった。加入した小型魚は東北海域内で成長し、7年程度で成魚の体サイズ(40cm以上)に達した。既往の知見ではイトヒキダラの生育場はオホーツク海とされていたが、生育場は東北海域南部にも存在することが明らかとなった。また、本種の成長は非常に遅く、これら小型魚は2~3の年級群で構成されていた。これらのことから、イトヒキダラでは小型魚が毎年安定して加入するわけではなく、成長も遅いため、モニタリングを継続することにより慎重に漁業を行っていく必要があると考えられた。
成果の活用面・留意点 水産総合研究センターでは、青森県、岩手県および宮城県の協力を得て、イトヒキダラの資源評価を実施している。本研究において、イトヒキダラの生育場が東北海域内にあることが明らかとなり、トロール調査の重要性が裏付けられた。東北海域内の加入量および資源量を継続して把握することにより、資源評価の精度向上および適切な資源管理が期待できる。なお、本種は稚魚期には浮遊性が強いと考えられるため、着底トロール調査により推定された小型魚の資源尾数は過小評価されている。
図表1 234939-1.png
図表2 234939-2.png
カテゴリ モニタリング

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