カサゴ資源回復計画に係る技術開発

タイトル カサゴ資源回復計画に係る技術開発
担当機関 宮崎県水産試験場
研究期間 2005~2009
研究担当者 溝口幸一郎
清水 博
発行年度 2010
要約 1.日向灘のカサゴ漁獲量は平成21年は19トンまで回復、漁獲尾数は10万尾まで増加、資源尾数は225万尾、資源量は167トンと推定。2.第2期計画として、現状の管理措置を平成26年まで継続した場合、資源量は225トンに増、限定した管理措置でも持続利用可能。3.釣針を飲み込んだ小型魚は大型魚より生残率が低く、短いハリス、より大型の鯛針、ムツ針で漁獲尾数減少や飲み込み割合が低下。
背景・ねらい カサゴ延縄漁業の漁獲量が減少し、資源水準の低下が懸念されたため、H17.8月に資源回復計画が策定され、禁漁期や小型魚保護、種苗放流等の措置が講じられているが、これらの管理効果を明らかにするため、資源状況を調査するとともに、次期回復計画の実施に向けての管理効果シミュレーションや、再放流対象となる18cm以下の小型魚保護を効率的に推進するための技術開発を実施した。
成果の内容・特徴
  1. 計画開始以前の県全体漁獲量は、平成2年の約43トンをピークに平成16年には11.3トンと近年最低となったが、平成21年には19.3トンまで回復した(図1)。延縄漁業のCPUEは増加傾向にあるものの、地区によっては解禁から漁期末までのCPUE低下が認められ安定状態にはない。漁獲状況調査と耳石による年齢査定、市場調査による体長組成から年齢別漁獲尾数を求め、コホート解析による資源量推定を実施した(図2)。年齢別推定漁獲尾数は平成12年の15.6万尾から6万尾台まで減少したが、平成21年には10万尾まで増加した。回復計画における体長制限により若齢魚の漁獲が減少しているが、制限前との資源尾数比率により求めた再放流尾数や、種苗放流尾数と3歳時加入尾数との関係から求めた資源添加尾数で補正すると、平成21年の資源尾数は225万尾、資源量は167トンとなり、特に6歳以下で増加している。
  2. 平成22年より第2期の取組が開始されるに当たり、今後の管理効果を予測した(図3)。平成26年までの漁獲係数を平成21年の最高値とし、種苗放流や体長制限による再放流魚の加入尾数を加え、さらに2期終了後の漁獲圧を2割増としてシミュレーションした結果、第2期終了時の資源量は225トンに増加し、種苗放流を終了して限定した自主管理体制に移行しても、資源は安定すると推定された。
  3. 再放流の対象となる小型魚が釣針を飲み込んだ場合、飼育試験により生残率が低下した。飲み込み防止のため、ハリス長や釣針サイズ・種類の検討を行った結果、短いハリスでは小型魚の飲み込み率と釣獲率の低減効果が認められた(図4)。鯛針(11~14号)では、14号で漁獲尾数が減少し、13と14号では11号に対し飲み込み割合が半減し(図5)、鯛針(13,14号)とムツ針(16,18,20号)の比較では、飲み込みはムツ針の方が少なく、釣獲率では鯛針14号とムツ針の18,20号で低減できた(図6)。しかし、いずれも漁獲対象の大型魚にも影響があった。
成果の活用面・留意点 第1期計画の取組により資源は増加傾向にあるが、管理措置の継続無しに維持できる状態には回復していない。また、資源解析やシミュレーション精度を向上させるため、放流種苗の資源添加率や再放流効果、再生産成功率等について、引き続き調査解析が必要である。
図表1 234941-1.png
図表2 234941-2.png
図表3 234941-3.png
図表4 234941-4.png
図表5 234941-5.png
図表6 234941-6.png
カテゴリ

こんにちは!お手伝いします。

メッセージを送信する

こんにちは!お手伝いします。

リサちゃんに問い合わせる