伊豆諸島周辺海域および黒潮波及域におけるキンメダイ仔稚魚の初期生活史

タイトル 伊豆諸島周辺海域および黒潮波及域におけるキンメダイ仔稚魚の初期生活史
担当機関 東京都島しょ農林水産総合センター
研究期間 2003~2009
研究担当者 前田洋志
発行年度 2010
要約 伊豆諸島周辺海域でのキンメダイ初期生活史を把握するため、各種プランクトンネット調査を行った。その結果、本海域でのキンメダイ仔稚魚は6~9月に八丈島を中心とした海域の、水深50m付近に多く出現すること、初期形態、などが把握できた。また、黒潮流域で同様の調査を行い、伊豆諸島周辺海域は他の海域に比べて卵仔稚魚が多く出現することが確認された。
背景・ねらい 伊豆諸島周辺海域は日本近海で有数のキンメダイ漁場であり、複数の都県の漁業者により利用されている。キンメダイ資源の持続的な活用を図るために、各都県の漁業者間での協議による自主的な資源管理が行われている。平成17年度からは水産庁の資源回復計画対象種にも指定され参加各都県で資源管理に取り組んでいる。しかし、伊豆諸島周辺海域でのキンメダイ仔稚魚の初期生活史は不明な点が多く、効果的な資源管理手法を考える上で大きな支障となっている。そこで、各種プランクトンネット調査を行い、キンメダイの初期生活史を把握する。
成果の内容・特徴
1.鉛直分布
八丈島北方の黒瀬海域(図1)において、表層から水深300mまで各種プランクトンネット調査を行い、水深50m付近で最も多く仔稚魚が採集された(図2)。
2.水平分布および季節的出現状況
大島~鳥島までの海域(図1)で、毎月、水深約50mでネット調査を行った。その結果、6~9月に八丈島を中心とする海域で、キンメダイ仔稚魚が採集され、発育段階初期の個体が毎月出現すると共に、月が経つにつれて発育段階の進んだ個体が採集された。伊豆諸島周辺海域でふ化、発育している可能性が示唆された(図3)。また、2004~2009年に採集された仔稚魚を用い、外部形質の相対成長を分析して、初期形態の把握を行った(図4)。
3.黒潮流域での広域調査
2007~2009年に、黒潮上流域である高知県沖海域(図5)で、2008~2009年に房総・常磐沖海域(図6)で各種ネット調査を行った。2007年に行った調査では、同じ時期に実施した伊豆諸島周辺海域での調査結果と比較すると、卵仔稚魚の採集は少なく(表1、2)、黒潮上流からの加入割合は、伊豆諸島周辺海域で産出されるものに比べて少ないことが示唆された。房総常磐沖調査では、2008年にSt.2、2009年にSt.6で仔魚各1個体のみと採集数は少なかった。
成果の活用面・留意点 伊豆諸島周辺海域でキンメダイの卵仔稚魚が確認され、他の海域、特に黒潮上流域と比較して、多くの卵仔稚魚が確認されたことから、黒潮上流からの加入のみならず、本海域がキンメダイの再生産にとって重要な海域であることが示唆された。キンメダイ資源の持続的な利用のために、伊豆諸島周辺海域での資源管理を徹底すると共に、資源の変動を把握する必要がある。
図表1 234944-1.png
図表2 234944-2.png
図表3 234944-3.png
図表4 234944-4.png
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図表6 234944-6.png
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