タイトル |
大和マナを含むツケナのSハプロタイプによる遺伝的関係の解析 |
担当機関 |
奈良農総セ |
研究期間 |
2005~2008 |
研究担当者 |
浅尾浩史
北條雅也
西本登志
奥山恵里(奈良県中小企業支援センター)
越智康治(ナント種苗)
高山誠司(奈良先端大)
|
発行年度 |
2008 |
要約 |
大和マナおよび形態的に類似するツケナ11品種・系統には39種類のSハプロタイプが存在する。これらのクラスター分析により、大和マナ系統が遺伝的に近い集団であることがわかる。
|
キーワード |
Sハプロタイプ、大和マナ、遺伝的近縁性、ツケナ
|
背景・ねらい |
奈良県の伝統野菜である大和マナの生産振興を図るには、大和マナのツケナでの位置付けを明確にしてその起源を明らかにするとともに、自家不和合性を利用した外葉が黄化しにくい高品質なF1品種の育成が必要とされている。そこで、Brassica rapa L. Oleifera Group に属する大和マナおよび大和マナと形態的に類似しているツケナが有するSハプロタイプを解析する。
|
成果の内容・特徴 |
- 7品種・系統の大和マナおよび大和マナと形態的に類似している4品種・系統のツケナ、合計11品種・系統の各30?61個体の葉からDNeasy Plant Mini Kit (QIAGEN)を用いてDNAを抽出する。
- 各品種・系統のゲノムDNAからクラスI SLG対立遺伝子とクラスII SP11対立遺伝子をPCR増幅し、その産物をpGEM-T Easy Vector(Promega)を用いてTAクローニングした後、DNAシーケンサー(ABI PRISM 3100 Genomic Analyzer)で塩基配列を決定する。
- 決定した塩基配列をBLASTNプログラムで比較すると、新規の21種類を含む39種類のSハプロタイプ(35種類のクラスIと4種類のクラスII)が同定され、Sハプロタイプの種類や数は品種・系統によって異なっている(表1)。
- 各品種・系統に蓄積されたSハプロタイプに基づく解析から、供試した11品種・系統は3つのクラスターに分類される。「大和真菜」(大和農園)を除く大和マナはいずれも第1クラスターに分類され(図1)、他のツケナと比較して大和マナは相互に遺伝的に近い集団であることが示唆される。
|
成果の活用面・留意点 |
- 形態的に区別できないツケナでも、蓄積しているSハプロタイプに着目すれば遺伝的関係を明らかにできる。
- 集団のSハプロタイプを同定することで、ヘテロシスを最大に利用した品種育成を効率よく行うことができる。
- 「大和真菜」(ナント種苗)から同定された15種類のSハプロタイプのうち、10種類のSハプロタイプをホモに持つ純系親系統を作出し、F1品種の育成を試みている。
|
図表1 |
 |
図表2 |
 |
カテゴリ |
伝統野菜
品種
|