光質利用によるイチゴうどんこ病防除

タイトル 光質利用によるイチゴうどんこ病防除
担当機関 兵庫農技総セ
研究期間 2007~2009
研究担当者
発行年度 2008
要約
イチゴに紫外光を照射することにより、病害抵抗性を誘導し、うどんこ病の発病を抑制する。本防除法を予防的に用いることで、うどんこ病の発病を低く抑えることができる。
キーワード 紫外光照明装置、抵抗性誘導、イチゴ、うどんこ病
背景・ねらい
現在、全国的に栽培されているイチゴ品種は総じてうどんこ病罹病性であり、うどんこ病対策は栽培管理において重要である。本病の防除対策としては、主に薬剤散布、あるいは硫黄くん煙などの化学的防除が中心であり、液体ケイ酸カリウム水溶液により発病を抑制する耕種的防除技術も確立されているが、近年の高設栽培など栽培方法(特に施肥方法)の多様化の中で的確な適用が難しくなってきている。そこで、省力的な、かつ化学的防除とは異なる技術を検討し、光による防除技術の確立を図る。
成果の内容・特徴
  1. 紫外光照明装置は亜鉛鋼板本体にアルミ反射板がついており、これに20形専用光源付防水リングがついている。この光源を10a当たり30台、イチゴから約2mの高さで5m間隔に設置する。午前9時から午後3時までの6時間、毎日照射する。図1は高設栽培ハウスでの設置事例。
  2. 1.の装置の試作品を設置したビニルハウスにおいて、うどんこ病発病前(ここでは11月1日に照射、無処理での発病は11月17日)から紫外光を土耕栽培イチゴ「とよのか」に継続して照射すると、果実のうどんこ病を強く抑制し、その効果は1月から5月の長期間にわたり継続する(図2)。また、葉においても同様のうどんこ病抑制効果が認められる。
  3. 高設栽培の「章姫」においてもうどんこ病発病前から照射を開始すると高い発病抑制効果を示す(図3)。
  4. 白色蛍光灯照射下の室内実験において紫外光を5.4KJm-2でイチゴに照射することにより、イチゴ組織内にPRタンパク質遺伝子(ここでは、キチナーゼ1及び2、β-1,3グルカナーゼ、オスモチン様タンパク1及び2)が強く発現することから、紫外光照射によるうどんこ病の抑制に抵抗性誘導が関わっていると考えられる(図4)。
成果の活用面・留意点
  1. 光照射によるうどんこ病の発病抑制は、その作用機構が病害抵抗性の誘導であることから、うどんこ病発病前からの予防的な使用により、その効果が発揮される。
  2. 発病後からの照射では効果がやや劣るので、殺菌剤の散布と併用する。
  3. 予防的使用であっても万が一発病した場合、殺菌効果は期待できないので、殺菌剤散布と併用する。
  4. 紫外光照明装置点灯中にはハウス内への立入を避けること(日焼け防止・雪目防止)。
  5. 低温で曇天・雨天が続いた場合、葉に日焼けが生じる場合がある。
  6. 所定の設置方法や器具取付間隔、点灯時間帯など運用条件を守ること。
  7. 本光防除システムは共同研究機関パナソニック電工株式会社より「タフナレイ」として販売されている。
図表1 234984-1.jpg
図表2 234984-2.jpg
図表3 234984-3.jpg
図表4 234984-4.jpg
カテゴリ 病害虫 いちご うどんこ病 栽培技術 施肥 抵抗性 病害抵抗性 品種 防除 薬剤

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