Phytophthora nicotianaeによるサンショウ疫病の発生と防除

タイトル Phytophthora nicotianaeによるサンショウ疫病の発生と防除
担当機関 滋賀農技セ
研究期間 2006~2008
研究担当者
発行年度 2008
要約
滋賀県内の葉サンショウ産地で発生した苗の立枯症状は、Phytophthora nicotianaeによるサンショウ疫病である。播種床ではビニルトンネルによる雨よけの防除効果が高い。薬剤では防除効果の高いものもあるが未登録である。
キーワード サンショウ、Phytophthora nicotianae、疫病
背景・ねらい
露地で播種・育苗される滋賀県内の葉サンショウ産地では、数年来、育苗期に立枯症状が発生し問題となっているが、その原因は不明であり、効果的な防除法が確立されていない。そこで、病原菌の分離・同定を行い、病原菌の特性に応じた化学的、耕種的防除法を検討する。
成果の内容・特徴
  1. 本症状は5月下旬頃より坪状に発生し、周囲に拡大する。播種床では全身萎凋症状に始まり枯死へ至ることが多く、育苗ほへの移植後は葉の萎凋・枯死に始まり、茎部の黒変、株全体の萎凋、枯死へ移行することが多い(図1)。
  2. 罹病葉から分離した菌株の遊走子懸濁液をサンショウ苗の地上部に噴霧接種すると病徴が再現され、病斑部からは接種菌と同一の特徴を持つ菌が再分離される。形態的、培養的特徴(表1)から、分離菌株はPhytophthora nicotianae(交配型A2)と同定される。
  3. 播種床では、4月末からビニルトンネルで被覆して雨よけすることで、本病の発生を防ぐことができる(図2)。
  4. マンゼブ・メタラキシル水和剤750倍液、シアゾファミド水和剤2000倍液の週1回散布による防除効果は高いが、銅水和剤(塩基性硫酸銅32)500倍液の効果は低い。(表2)
成果の活用面・留意点
  1. 供試農薬の内、マンゼブ・メタラキシル水和剤、フルアジナム水和剤、シアゾファミド水和剤は、平成20年12月現在、葉サンショウに適用登録がない。銅水和剤(塩基性硫酸銅32)はさび病に適用がある。
  2. 疫病菌の特性から、水を介して発生が拡大すると考えられる。雨よけの効果は高いが、ポリマルチや敷きわらによる跳ね上がり防止だけでは被害を防ぎきれない。
  3. 既にPhytophthora sp.によるサンショウ疫病の発生が報告されている(阿部ら1975)ため、本病の病原菌としてP. nicotianaeの追加を日本植物病理学会に提案する予定である。
図表1 234991-1.jpg
図表2 234991-2.jpg
図表3 234991-3.jpg
図表4 234991-4.jpg
カテゴリ 病害虫 育苗 さんしょう 農薬 播種 防除 薬剤

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