培地の昇温抑制を利用したイチゴ株据置栽培の花芽分化促進技術

タイトル 培地の昇温抑制を利用したイチゴ株据置栽培の花芽分化促進技術
担当機関 広島総研
研究期間 2008~2008
研究担当者
発行年度 2008
要約
「イチゴ株据置栽培」で、6月末まで収穫し、7月から窒素中断を行なう作型で、6月上旬から「気化潜熱を利用した培地の昇温抑制技術」を活用すると、日平均培地温度が1~3℃程度低下し、収穫開始が10日程度早まり、11月上旬から収穫が可能となる。
キーワード イチゴ、株据置栽培、培地、昇温抑制、気化潜熱、花芽分化
背景・ねらい
同一株で多年にわたり収穫を行なう「イチゴ株据置栽培」(平成18年度近畿中国四国農業研究成果情報)において、通常11月下旬から収穫するためには、5月末で収穫を打ち切り、6月から窒素中断処理(養液施用を中断し、かん水だけを行なう処理)を行なう必要がある(図1、上段)。そのため、6月から11月中旬までは収穫ができない。そこで同栽培法の収穫期間拡大を図るため、収穫を6月末まで延長し、さらに「気化潜熱を利用した培地の昇温抑制技術」(図2、平成19年度近畿中国四国農業研究成果情報)を利用して花芽分化促進を図り、11月上旬から収穫が可能な作型を開発する。
成果の内容・特徴
  1. 「イチゴ株据置栽培において、収穫を5月末で打ち切らず、6月末まで収穫を延長する。その後、7月から窒素中断を行う。さらに、次作での早期収穫のため、気化潜熱による培地の昇温抑制技術により花芽分化の促進を図る。花芽分化確認後は再び施肥を開始する(図1、下段)。
  2. 培地温度が18℃以上の条件下で送風を行った場合、日平均培地温度は対照に比べ1~3℃程度低下する。特に、7月から8月の高温期でその効果が高く、日平均培地温度は2~3℃程度低下する(図3)。
  3. 品種「紅ほっぺ」では、送風を窒素中断開始前の6月上旬から開始することで、花芽分化、出蕾及び開花が早まり、収穫開始日の平均は対照区より10日程度早まる。また、窒素中断時期の7月上旬から8月上旬に送風を開始しても、収穫は5日程度早まる(表1)。
成果の活用面・留意点
  1. 気化潜熱を利用した培地の昇温抑制技術は、透水性シートの栽培槽と排水樋を兼ねる不透水性シートとの空間に風(風速1~2m/秒)を送ることで、培地内の水分を気化させ、培地温度の低下を図るものである(図2)。
  2. 窒素中断期間中は、花芽分化促進のため、気化潜熱による培地の昇温抑制技術と併せて、ハウス屋根部への寒冷紗被覆も行う。
  3. 送風により培地水分の気化が生じるため、培地の水分状態を確認して、培地が乾かないようにかん水量を調節する必要がある。
  4. 6月からの送風では花芽分化は促進されるが、花芽の発育状況はばらつきが大きくなる。今後、肥培管理などを検討し、花芽の発育の均一化を図る栽培管理技術の確立が必要である。
図表1 234996-1.jpg
図表2 234996-2.jpg
図表3 234996-3.jpg
図表4 234996-4.jpg
カテゴリ いちご 栽培技術 施肥 肥培管理 品種

こんにちは!お手伝いします。

メッセージを送信する

こんにちは!お手伝いします。

リサちゃんに問い合わせる
S