早生、多収で果実品質の良いイチゴ新品種「まりひめ」

タイトル 早生、多収で果実品質の良いイチゴ新品種「まりひめ」
担当機関 和歌山農総セ
研究期間 2002~2008
研究担当者 西森裕夫
田中寿弥
東 卓弥
松本浩幸
発行年度 2008
要約
「まりひめ」は「章姫」と「さちのか」の交配実生から選抜・育成した促成栽培向けの新品種で、上物率が高く、糖度(Brix)9以上で安定して高い。また、「さちのか」と比較して、収穫開始が2週間以上早い12月上旬からで、4月までの収量が20%以上多い。
キーワード イチゴ、品種育成、促成栽培、早生、多収
背景・ねらい
和歌山県のイチゴの主要品種は「さちのか」であり、全体の約70%を占めている。「さちのか」は果実品質に優れ、市場評価が高いものの、収穫開始時期が12月下旬からと遅く、収量も少ないため必ずしも収益のあがる品種とはいえない。そこで「さちのか」に比べて、早生で収量が多く、果実品質も良い促成栽培向き品種を育成する。
成果の内容・特徴
  1. .「まりひめ」は2003年に「章姫」を子房親、「さちのか」を花粉親として交配し、その実生から選抜、育成した一季成りの促成栽培向き品種である。
  2. 草姿は中間~やや立性で、収穫開始期の草高は「さちのか」より高く、「章姫」、「紅ほっぺ」よりやや低い(表1)。小葉の大きさは「紅ほっぺ」と同程度で大きい。ランナーの発生は「さちのか」より少なく、「章姫」、「紅ほっぺ」より多い。
  3. 頂果房の花芽分化時期は9月15日前後、開花開始は11月上旬、収穫開始時期は12月上旬で「さちのか」に比べて2週間以上早い。頂果房の花数は平均21個で、「章姫」より少なく、「さちのか」と同程度である(表2)。頂果房の収量が多く、1月までの早期収量は「章姫」より多く、「紅ほっぺ」と同等である。第一次腋果房の出蕾はやや遅く、このため、2月の収量がやや少ない。4月までの総収量は「さちのか」より20%以上多い(表3)。
  4. 果実の大きさは「紅ほっぺ」と同等、「さちのか」よりも大きい。果形は肩部に丸みを帯びた円錐形で揃いが良く、上物率が高い(図1、表3)。果実の色は鮮紅色で厳寒期でも着色が良い。果皮および果肉の硬さは「章姫」よりも硬く、「さちのか」より軟らかい。
  5. 果実の食味について、糖度は「さちのか」と同程度で、「章姫」よりも高い(表2)。酸度(クエン酸換算値)は0.4~0.5%で「章姫」より高く、「さちのか」よりも低い。
成果の活用面・留意点
  1. 炭疽病には「さちのか」と同程度に弱く、防除対策を徹底する必要がある。
  2. 定植後、心止まり株が発生しやすいので、育苗時~定植後初期の極端な肥料切れを避け、適切な潅水により速やかな活着を促すことで、発生防止に留意する。
  3. 低温期でも草勢が強いので、和歌山県の平坦部ではジベレリン処理や電照は不要と考えられる。
  4. 「さちのか」よりも日持ちが劣るので特に春季には適期収穫に努める。
  5. 2008年度は和歌山県内50aのモデル産地で試験栽培を実施している。今後、他府県への許諾については未定である。
図表1 235005-1.jpg
図表2 235005-2.jpg
図表3 235005-3.jpg
図表4 235005-4.jpg
カテゴリ 肥料 病害虫 育苗 いちご 栽培技術 新品種 炭疽病 品種 防除 良食味

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