NaCl水溶液のかん注処理による花き苗の萎凋遅延効果

タイトル NaCl水溶液のかん注処理による花き苗の萎凋遅延効果
担当機関 奈良農総セ
研究期間 2006~2008
研究担当者 前田茂一
仲 照史
上田真由美
角川由加
発行年度 2008
要約
花き苗では、0.3~0.6%(w/w)のNaCl水溶液を培養土にかん注処理することにより、かん水停止後の萎凋が遅延する。出荷予措として処理することにより、苗質を低下させることなく、流通段階での萎凋による品質低下を回避することができる。
キーワード NaCl水溶液、花き苗、萎凋遅延、かん注処理
背景・ねらい
流通~消費段階における花き苗は、かん水不足による萎凋で品質が低下しやすく、いったん品質が低下すると、その後の管理で元どおりに回復することはほとんどない。そこで、キャベツセル苗で報告された事例(2003、藤原ら)を参考とし、花き苗の出荷後品質を保持するためのNaCl水溶液のかん注処理による萎凋遅延技術について検討する。
成果の内容・特徴
  1. 出荷適期となった花き苗に対し、NaCl水溶液をかん注処理することにより、かん水停止後に萎れ状態に達するまでの期間が遅延する(表1)。
  2. 品目によって効果は異なるが、NaCl水溶液の処理濃度が高いほど萎凋までの期間は長くなる(表1)。
  3. 処理方法は培養土へのかん注処理によるものとし、適湿の培養土に処理する場合、処理量は3号ポットあたり100mlとする。
  4. NaCl水溶液の実用的な処理濃度は0.3~0.6%(w/w)で、この範囲の濃度では生理障害の発生は見られず、定植後の生育も順調である。これ以上の濃度では何らかの生理障害が発生する(表2)。また、ほとんどの供試植物が生理障害を受けるNaCl濃度は1.5%以上で、その時の培養土のEC値は、1:5の体積抽出法で測定すると1.16以上となる(表3)。
成果の活用面・留意点
  1. 植物体に処理液が直接かかると、低濃度であっても花弁に白斑などの障害が発生する場合があるので、処理方法に工夫を加える必要がある。
  2. NaCl水溶液のかん注処理により生理障害が発生する場合は処理直後から見られ、ほとんどの品目で10日以内に症状が確定する。
  3. 店頭あるいは定植後にポットあたり200ml/日以上のかん水量により、培養土中のNaClは容易に溶脱し、萎凋遅延効果も速やかに解消される。
  4. 本成果は、小売店における棚もち期間の延長技術として利活用できる。
図表1 235013-1.jpg
図表2 235013-2.jpg
図表3 235013-3.jpg
カテゴリ キャベツ 栽培技術 出荷調整 生理障害

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