ウンシュウミカン園におけるヘアリーベッチ草生による20%施肥量削減と有機物補給

タイトル ウンシュウミカン園におけるヘアリーベッチ草生による20%施肥量削減と有機物補給
担当機関 和歌山農総セ
研究期間 2005~2007
研究担当者 有田 慎
横谷道雄
藤本欣司
発行年度 2008
要約
窒素固定を行うマメ科のヘアリーベッチ草生栽培を早生ウンシュウミカン成木園に3年間導入すると、収量と果実品質の低下を引き起こさずに20%の施肥量削減と園地への有機物の補給を行うことが出来る。
キーワード ウンシュウミカン、ヘアリーベッチ、草生栽培、減肥、有機物補給
背景・ねらい
和歌山県のウンシュウミカン園は斜度15度以上の急傾斜地園が産地の61%を占めており、堆肥などの有機物施用は重労働であるためあまり行われておらず、草生栽培の導入による、省力的な有機物補給が望まれている。しかし、草生栽培では、草との養分競合や枯死した草に由来する窒素の遅効きによる果実品質の低下が懸念される。ヘアリーベッチは自然枯死型の草種であり刈り取りが必要無く、被覆率及び乾物重が高く、マメ科草種で窒素固定を行う特徴がある。本研究では、樹齢の異なるウンシュウミカン園において、有機物補給効果のあるヘアリーベッチ草生栽培と、20%の施肥量削減を組み合わせた施肥法の検討を行う。
成果の内容・特徴
  1. 3年間のヘアリーベッチ草生栽培と年間施肥量20kgN/10aからの20%の施肥量削減を組み合わせた施肥法でも、17年生以上の成木では、清耕栽培と同等の収量が期待できる(図1)。いずれも、8月の葉中窒素含有率の増加は認められず、糖度低下も認められない(図2,3)。また、果実重、果皮色、浮き皮、酸含量への影響も認められない(図省略)。
  2. 10年生以下の若木では、ヘアリーベッチ草生栽培の導入により、収量が減少する場合がある(図1)。
  3. ヘアリーベッチ草生栽培により、地上部だけで10a当たり1年間に約330kgの有機物量の補給が可能であり、これは0.8tの堆肥(水分含有率60%)に相当する(図省略)。
成果の活用面・留意点
  1. ヘアリーベッチが繁茂する5月下旬から6月にかけて、防除作業の効率低下やウンシュウミカン樹への巻き上がりが起こるため、5月初旬に1~2回(約1h/10a)の草倒しを行う必要がある。
  2. 堆肥0.8t/10a施用と標準施肥(有機配合ペレット:20kgN/10a)の組み合わせと比較して、ヘアリーベッチ5kg/10a播種と20%減肥では、土壌への有機物補給と施肥に要する資材費が約65%に抑えられる。
  3. 有機物をウンシュウミカン園に省力的に補給できるため、傾斜地園ではヘアリーベッチ草生栽培の導入が有効である。
図表1 235020-1.jpg
図表2 235020-2.jpg
図表3 235020-3.jpg
カテゴリ 病害虫 温州みかん 傾斜地 施肥 播種 防除

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