セルトレーを用いたブドウ「ピオーネ」の効率的な挿し木苗生産技術

タイトル セルトレーを用いたブドウ「ピオーネ」の効率的な挿し木苗生産技術
担当機関 岡山農総セ
研究期間 2006~2008
研究担当者 藤井雄一郎
小野俊朗
発行年度 2008
要約
ブドウ「ピオーネ」の挿し木育苗に市販の固形培地を充填した72穴セルトレーを用いると、育苗圃の小面積化が図られるとともに、成苗率が高い。また、穂木基部の切り口を接着材でコーティングすることで成苗率はさらに高まる。
キーワード ブドウ、挿し木苗、セルトレー、切り口保護剤
背景・ねらい
ブドウ「ピオーネ」の超密植栽培(10a当たり1,000本栽植)は、早期成園化や多収に有効であるが、大量の苗が必要である。苗コストを考慮すると自家育苗の必要性が高い。このため、できるだけ育苗圃の面積が小さく、成苗率の高い挿し木育苗技術の開発を検討する。
成果の内容・特徴
  1. 挿し床にはピートモス、パーライト、バーミキュライトを容量比60:20:20で混和した固形培土(商品名:エクセルソイル)を充填した市販の72穴セルトレー(各口部3.7cm正方形、深さ5.0cm)を使用する。フィルムヒーター(1.8m×1.0m、80W/㎡)を用いた温床(25℃設定)の上にパーライトを5cmの厚さに敷き詰め、セルトレーを埋設し、3月中~下旬に1芽挿しを行う(図1)。挿し床はトンネル状にポリエチレンフィルムで被覆し、30℃以上にならないよう開閉する。
  2. 1,000本の挿し木を行うのに必要な面積は、9cmポットが8.3㎡であるのに対し、72穴セルトレーでは2.2㎡であり、約1/4の面積となる(図表省略)。
  3. 切り口保護は挿し穂の基部全面に木工ボンド(酢酸ビニル系)を塗布することで行う。塗布面を乾燥させた後、挿し木時まで約5℃下の冷蔵庫内で保存する。
  4. 発芽率はポリポットに比べて72穴セルトレーの方が高く、成苗率(展葉2枚以上で成長点を持つ定植可能な苗の割合)も高い(表1)。切り口保護を併用すると苗の切り口付近のカルス形成が優れ(図2)、成苗率がさらに高まる(表2)。
  5. 定植後の地上部の生育にはセルトレー育苗とポット育苗との差はない。また、定植翌年の収量、果実品質も同等である(データ省略)。
成果の活用面・留意点
  1. ブドウの密植栽培等、大量の苗を必要とする場合に活用できる。
  2. 培地が乾燥しやすいため、晴天が続けば展葉までは約3日毎、展葉後は毎日、培地が十分に湿るよう、培地表面の乾燥の有無を確認しながら潅水を行う。
  3. 移植適期を逃すと、定植後の初期生育が劣るため、展葉2枚以上となり成長点を有するうちに定植する。
図表1 235021-1.jpg
図表2 235021-2.jpg
図表3 235021-3.jpg
図表4 235021-4.jpg
カテゴリ 育苗 乾燥 コスト 栽培技術 挿し木 早期成園化 ぶどう

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