カンキツにおける三倍体品種の中間母本となる四倍体の育成

タイトル カンキツにおける三倍体品種の中間母本となる四倍体の育成
担当機関 広島総研
研究期間 1998~2007
研究担当者 金好純子
古田貴音
柳本裕子
塩田 俊
蔵尾公紀
発行年度 2008
要約
コルヒチン処理したえき芽を接ぎ木した個体からの選抜、あるいは珠心胚実生からの選抜により、カンキツ32品種において、四倍体として交雑に利用できる個体が得られ、これらは三倍体品種育成の中間母本となる。
キーワード 倍数性育種、カンキツ、コルヒチン、三倍体、珠心胚実生、中間母本、四倍体
背景・ねらい
カンキツにおいて無核性は重要な育種目標であり、その育成方法のひとつとして、三倍体が利用されている。三倍体作出には、交配親として四倍体が必要であるが、その遺伝資源は極めて少ない。そこで、これまでに四倍体の作出事例がなく育種素材となる品種について、コルヒチン処理したえき芽を接ぎ木した個体、あるいは珠心胚実生からの選抜により四倍体を作出して、三倍体育成の中間母本とする。
成果の内容・特徴
  1. 染色体倍加を行った品種は、単胚性、剥皮容易あるいは単為結果性などの形質を有するマンダリンやタンゴール、無酸性など特徴的な形質を有するブンタン、または県特産品種である。
  2. 四倍体作出は、単胚性あるいは多胚性品種では、コルヒチン処理したえき芽の接ぎ木により行う(図1)(1986生山を一部改変)。多胚性品種では、珠心胚実生中に偶発的に出現する四倍体を選抜する方法も用いる。四倍体の選抜は、1年半以上育苗して倍数性が安定した後に行い、フローサイトメトリー(Partec社、Ploidy Analyzer PA)により倍数性の調査を行う。
  3. 倍数性調査の結果、コルヒチン処理による方法では、単胚性19品種、多胚性7品種で四倍体あるいは二倍性細胞と四倍性細胞のキメラ(以下キメラ)が得られ、珠心胚実生からの選抜では多胚性6品種で四倍体が得られた(表1)。
  4. 得られた四倍体の倍数性は安定しており、中間母本として利用できる。また、11品種で得られたキメラは、生殖細胞を形成する茎頂分裂組織の第2層が四倍体であり、完全に染色体倍加した個体と同様に、四倍体として交配親に利用できる。
  5. 以上の結果、32品種で得られた四倍体またはキメラは、新たな育種素材として三倍体育成に活用できる(表1)。
成果の活用面・留意点
  1. キメラは作出から2~15年を経過しており、その間、倍数性構造は安定しているが今後変化する可能性があるので、倍数性の確認を行いながら利用する。
  2. 四倍体およびキメラは、研究材料(育種素材)としての分譲が可能である。
図表1 235024-1.jpg
図表2 235024-2.jpg
カテゴリ 育種 育苗 遺伝資源 単為結果 接ぎ木 品種 ぶんたん その他のかんきつ

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