5.貫通型マイクロチャネル乳化システムの開発

タイトル 5.貫通型マイクロチャネル乳化システムの開発
担当機関 食品総合研究所
研究期間 1997~2001
研究担当者 中嶋光敏
発行年度 2000
要約 マイクロマシーニング技術を利用して均一な貫通孔が効率的に集積された貫通型マイクロチャネル(MC)基板を作製する。長方形状の断面を有する貫通型MCを介して分散相液体を連続相液体中に圧入することにより、高生産速度で単分散水中油滴型エマルションを生成する(貫通型MC乳化法)。

背景・ねらい エマルションは、食品、医薬品、化成品など様々な用途で利用されている。しかしながら、エマルションの物理的安定性および製品の品質安定性の向上に有効である均一なサイズのエマルションを生成することは容易ではない。近年開発されたMC乳化法は、数mm~数十mmの単分散エマルションを生成することができるが、生産性の低さが大きな問題となっている。そこで、多数の微細貫通孔が効率的に集積されている貫通型MC基板の作製およびそれを利用したエマルション製造を行う。
成果の内容・特徴 1.貫通型MC基板:シリコン基板(a)に、アルミ膜蒸着(b)、レジスト塗布(c)、フォトリスグラフィ(d)、プラズマエッチングによる貫通孔の形成および酸化膜の形成(e,f)等のプロセスを経てMCを作製する(図1)。大きさ24mm、厚さ200mmの基板中央部に約1万個の長方形状の断面を有する貫通型MCが作製されている(図2)。
2.貫通型MCによる単分散O/W-エマルション生成:分散相として大豆油を用い、連続相としてドデシル硫酸ナトリウム水溶液を用いる。図3に示す装置を用いて分散相を加圧し、貫通型MCを通過させ、連続相中に吐出させて、油滴の生成を行う。分散相液体が、歪みを持たせた長方形状の断面を有する貫通型MCを通過することにより、平均滴径32.5mm、変動係数1.5%の単分散O/W-エマルションが生成される(図4)。
3.貫通型MCに対する乳化特性:貫通型MC乳化により生成される単分散エマルションのサイズは連続相流速の影響を受けず、連続相の流れが無くても同一サイズの単分散エマルションが生成される。また、分散相圧力の上昇に伴い機能している貫通型MCの割合が増加し、最大10ml/hの従来のMC乳化と比べて2桁大きい生産速度で単分散エマルションが生成される。
成果の活用面・留意点 産業界に普及させるためには、製造コストを見据えた貫通型MC乳化システムの改良が必要である。
図表1 235061-1.JPG
カテゴリ コスト 大豆

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