11.ゴマリグナンの脂質代謝改善作用の分子機構

タイトル 11.ゴマリグナンの脂質代謝改善作用の分子機構
担当機関 食品総合研究所
研究期間 1998~2000
研究担当者 井手隆
発行年度 2000
要約 ゴマリグナンであるセサミンはラット肝臓の脂肪酸酸化系酵素の活性を大きく上昇させ、反対に脂肪酸合成系酵素活性を低下させる。酵素のmRNAレベルにも同様な変化が観察される。このような変化は転写因子の活性化や抑制に基づくものである。

背景・ねらい ゴマに含まれるリグナン化合物であるセサミンには血清脂質低下作用を示す。この脂質代謝改善作用の発現機構を明らかにするためにセサミン投与がラット肝臓の脂肪酸代謝系酵素の活性とmRNAレベルさらに代謝系の制御に関与する転写因子に与える影響を調べる。
成果の内容・特徴 1.セサミンは肝臓ミトコンドリアとペルオキシゾームのβ酸化活性を量依存的に増加させる。ミトコンドリア活性は0.5%添加レベルで約2倍、ペルオキシゾーム活性は10倍以上となる(図1)。さらに、セサミンはβ酸化系酵素の活性とmRNAレベルの大きな上昇を引き起こす。
2.セサミンは飼料への0.1~0.4%添加で肝臓脂肪酸合成系酵素の活性と遺伝子発現を低下させる。低下は0.2%添加で最大となる(図2)。
3.セサミンは脂肪酸合成系酵素遺伝子発現を調節する転写因子ステロール調節エレメント結合タンパク質1(SREBP-1)のmRNA量を量依存性に低下させる。
4.非活性前駆体(135kD)と活性型(65kD)SREBP-1タンパク質量はセサミンの飼料への添加により低下する。前駆体型の低下は最大で30%程度であるが、活性型の低下は80%以上である(図3)。
5.以上のようにセサミンはラット肝臓の脂肪酸酸化活性を上昇させ、脂肪酸合成活性を抑制する。このような代謝変化がセサミンの血清脂質濃度低下作用の原因と思われる。また、セサミンによる脂肪酸酸化系酵素遺伝子発現増加は転写因子ペルオキシゾーム誘導剤活性化受容体(PPAR)の活性化、また脂肪酸合成系酵素遺伝子発現抑制は転写因子SREBP-1の遺伝子発現の低下と活性化抑制に基づく(図4)。
成果の活用面・留意点 セサミンは転写因子の活性化や抑制により、肝臓の脂肪酸代謝変化を引き起こし、結果として血清脂質低下作用を示す。この知見はゴマを活用した、機能性食品の開発に活用できるものである。
図表1 235063-1.JPG
カテゴリ ごま 機能性食品

こんにちは!お手伝いします。

メッセージを送信する

こんにちは!お手伝いします。

リサちゃんに問い合わせる