31.α−ガラクトシダーゼの基質認識機構

タイトル 31.α−ガラクトシダーゼの基質認識機構
担当機関 食品総合研究所
研究期間 1996~2000
研究担当者 小林秀行
発行年度 2000
要約 イネのα-ガラクトシダーゼの結晶化に成功し、X線結晶構造解析が進行中である。この酵素はガラクトマンナンに効率的に作用した。また、好熱菌Thermus T2のα-ガラクトシダーゼの遺伝子をクローニングし、大腸菌で発現させた。本酵素中に1残基存在するCysは活性と関わらない。

背景・ねらい α-ガラクトシダーゼは糖脂質、多糖、オリゴ糖からガラクトースを遊離するエキソ型の酵素である。植物種子においては発芽時のエネルギー獲得のために、また動物においては糖脂質の代謝などの役割を担っている。また、微生物由来の酵素は精糖工程において利用されているため、工業的にも重要な酵素である。α-ガラクトシダーゼは真核生物由来のファミリー27に属する酵素と、原核生物由来のファミリー36に属する酵素が存在するが、両ファミリー間の酵素には一次構造上の相同性は認められない。α-ガラクトシダーゼの高次構造は不明であり、触媒残基や基質結合部位についても殆ど情報がない。本研究では性質の異なるα-ガラクトシダーゼの構造と機能の相関を解明するために、イネα-ガラクトシダーゼ(ファミリー27)単結晶のX線結晶解析と、原核生物由来のα-ガラクトシダーゼ(ファミリー36)のCysをAlaに変換した変異体の構築による影響について検討を加えた。
成果の内容・特徴 1.イネα-ガラクトシダーゼのX線結晶解析の結果、表1に示したように2.5Åの解像度でnative dataを得た。
2.イネα-ガラクトシダーゼは、効率的にガラクトマンナンに作用する(図1)。
3.Thermus T2のα-ガラクトシダーゼ遺伝子をクローニングし、塩基配列を決定した。本酵素は、SDS-PAGEで53 kDa、native PAGEでは400 kDa以上であり、8量体構造をとっている(図2)。また、本酵素中には1残基しかCysは存在せず、この残基とpCMBが反応することにより活性が失われる。このCysをAlaに置換した変異体を構築した。CysのAlaへの変換は活性へ影響せず、このCysは活性とは関わらない(図3)。
成果の活用面・留意点 ガラクトマンナンに作用する酵素は少なく、イネα-ガラクトシダーゼの立体構造が解明されれば、効果的にガラクトマンナンに作用できる酵素の構築が可能となり、食品素材の高品質化に貢献する。
図表1 235074-1.JPG
カテゴリ シカ

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