イタボガキ繁殖試験

タイトル イタボガキ繁殖試験
担当機関 岡山県農林水産総合センター水産研究所
研究期間 2007~2009
研究担当者 清水 泰子
発行年度 2010
要約 イタボガキの自然増殖方法を開発するための移植試験を行った。種判別については、独自に設計した本種の判別プライマーを用いた。食害防止と幼生の滞留を目的としたケースに、親貝と採苗用のホタテ殻を入れて移植したところ、高い割合でイタボガキ浮遊幼生が確認され、7個体のイタボガキ付着稚貝を確認できた。
背景・ねらい イタボガキはかつて瀬戸内海で多く漁獲されていたが、昭和50年頃から激減した。本種は人工生産が可能であるため天然海域で、食害防止と浮遊幼生の滞留を目的としたケースを用いた自然増殖を試みた。
成果の内容・特徴
  1. 2年間育成した平均殻長68.9mmの親貝100個体と採苗用ホタテ殻を、プラスチックケースに入れたものを2つ作成し、平成21年7月17日に水深4メートルの魚礁に設置した(図1)。また、対照区として親貝無しのケース2つを20m離れた魚礁に設置し、親貝約60個体を目合い3cmのナイロンネットで包んだもの2つを、ケースを設置した魚礁から10m離れた割石上に設置した。
  2. 国際塩基配列データベースに登録されているイタボガキおよびカキ類の28SrDNA配列を利用し、判別用PCRプライマーを設計した(図2)。
  3. 8月6日から9月4日の間に5回、2種のケース内およびケース外から1L採水し、含まれる二枚貝幼生を1~5個体ずつまとめて種判別を行った。二枚貝幼生数は、親貝入りケースで最も多く、合計15回の種判別検査中10回でイタボガキ幼生が確認され(表1)、ケース内に幼生が滞留していたと考えられた。
  4. 試験開始から224日後の2月25日にケースを回収し、ホタテ殻などに付着していたカキ類稚貝を親貝入りケースから204個、親貝なしケースから25個採取し、種判別したところ、親貝入りケースの7個体がイタボガキであった(図3)。また、ケース内は閉鎖的で海水交換が悪いが、ケース内とナイロンネットに包んだ親貝の生残及び成長には差が無く、親貝の生育には影響が無かったと考えられた。
  5. これらの結果から、移植したイタボガキが再生産を行うことが確認され、ケースを用いることで幼生をその場に付着させることが可能だと分かった。
成果の活用面・留意点 即時に利用できる成果ではないが、付着効率を向上させる、あるいは生分解性樹脂製のケースを使用する、などの改善を図ることにより、人工魚礁や潜提などの海底構造物への移植や放流が考えられる。
図表1 235121-1.png
図表2 235121-2.png
図表3 235121-3.png
図表4 235121-4.png
カテゴリ データベース 繁殖性改善

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