竿釣り漁業によるカツオ資源豊度指数の改善

タイトル 竿釣り漁業によるカツオ資源豊度指数の改善
担当機関 (独)水産総合研究センター 遠洋水産研究所
研究期間 2010~2010
研究担当者 清藤秀理
魚崎浩司
発行年度 2010
要約 日本の竿釣り漁業CPUEはカツオ豊度指数として資源評価等で使用されてきたが、漁業現場の現状を適切に表していない可能性が指摘されていた。本漁業のCPUE解析に各漁船の漁獲効率と探索機器の効果を考慮した手法を導入した結果、これまでの傾向とは異なり、熱帯域では減少傾向を示し、日本近海では増減傾向を示さなかった。これらは2010年の中西部太平洋カツオ資源評価の豊度指数として適用された。
背景・ねらい 中西部太平洋におけるカツオの漁獲量は1980年代から増加し続けているが、2008年の資源評価では資源の減少傾向は認められていない。一方、2009年日本近海では過去10年間で最低の漁獲量であった。これらの相違の原因として、2008年資源評価で豊度指数として使用された各漁業のCPUEが十分に解析されていないことが指摘されていた。本研究では、漁獲効率の向上を考慮したCPUE解析手法を開発し、2010年の資源評価の精度向上に資することを目的とした。
成果の内容・特徴
  • 各漁船の探索機器(鳥レーダー、ソナー、低音蓄養槽、衛星海面水温受信装置)の有無と漁業許可番号とで識別した漁獲効率を考慮したGLM解析を行い、豊度指数の算出にはデルタ型二段階モデルを考えた。一段階目として1日ごとの群れ発見可否の指標化をbinominalモデルにより、二段階目として有漁日1日当たりの漁獲量を指数化するlog-normalモデルにより算出し、これらを組み合わせたDelta-lognormalモデルによるCPUEを豊度指数とした。
  • 改善されたCPUEはこれまでとは傾向が異なり、熱帯域で減少傾向を示し、温帯域では顕著な増減傾向を示さなかった(図1)。特に熱帯域では、一日当たりの漁獲量、群れを発見できなかった日数の歴史的変化の影響、漁獲能率及び探索効率の低い船が撤退した効果が顕著に表れた。
成果の活用面・留意点
  • 本研究で開発した手法は、まき網等の他表層漁業のCPUE解析へ導入することで適切な資源豊度指数を示すことが可能である。
  • 本研究で得られた豊度指数が最も適切な豊度指数であろうと評価され、2010年のカツオ資源評価モデルへの入力データとされた。その結果、資源および漁獲圧の指標値は、これまでの楽観的な結果と比較して若干悲観的になり(図2)、今後の努力量増加を注視する必要性が示された。
図表1 235134-1.png
図表2 235134-2.png
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