安全・安心・安価なカンパチ人工種苗を環境にやさしく育てる技術の開発

タイトル 安全・安心・安価なカンパチ人工種苗を環境にやさしく育てる技術の開発
担当機関 (独)水産総合研究センター 養殖研究所
研究期間 2006~2009
研究担当者 虫明敬一
浜田和久
堀田卓朗
照屋和久
橋本 博
黒川忠英
宇治 督
吉田一範
岩崎隆志
山本剛史
古板博文
井手健太郎
高木儀昌
大村智宏
発行年度 2010
要約 養殖用のカンパチ輸入種苗において寄生虫が確認され、大きな社会的問題となった。国産人工種苗の安定的生産技術の開発に着手し、親魚の飼育環境条件を制御して成熟を促進させ、12月に採卵する技術を開発した。種苗生産された人工種苗は、中国産種苗と全く遜色のない成長を示し、単価も輸入種苗よりも低コストの生産を実現した。また、本種の自発摂餌能の利用により、低環境負荷型の養殖技術を開発した。
背景・ねらい 平成17年度に輸入された養殖用中国産カンパチ種苗において、アニサキスの寄生が確認され、食の安全・安心の観点から社会的問題となった。そこで、抜本的解決を図るため、低コストの養殖用国産人工種苗の安定的生産技術の開発ならびに低環境負荷型養殖技術の開発に着手した。
成果の内容・特徴
  1. 国内で養成された親魚から通常の時期(5~6月)における安定採卵技術を開発した。また、得られた卵を用いて、種苗の量産試験に成功した。
  2. 親魚の飼育環境(特に日長と水温)条件を制御して成熟を促進させた結果、世界で初めて本種の養成親魚からの12月採卵に成功した。また、無換水飼育法の導入等により種苗生産過程での生残率も向上した。
  3. 種苗生産試験で取り揚げた種苗は、中間育成の後に15cmサイズに達した段階で養殖試験に供した。12月採卵由来の種苗の成長は、中国産中間種苗と何ら見劣りすることなく成長し(図1)、満1歳になる時点で平均体重2.4kg(最大個体は2.8kg)に成長した(写真1)。市場出荷サイズに到達するまでの年数の短縮化、すなわち、養殖コストの低減が図れるようになった。
  4. 養殖用種苗としてのサイズ(全長で15cm)での単価を比較すると、中国産種苗は年変動があるが、現在350~600円で輸入されている(表1)。一方、生産された国産人工種苗は5~6月採卵由来の通常期種苗で216~232円、12月採卵由来で248~283円と輸入種苗よりも低コストで生産できる技術を開発した。
  5. 本種の自発摂餌能を養殖現場での給餌技術に応用することにより効率的養殖が可能になり、残餌の減少による小割網生簀自体の汚れも軽減され(写真2)、環境への負荷を軽減させることにも成功した。
成果の活用面・留意点
  1. 得られた成果は、鹿児島県の平成21年度補正予算によるカンパチ種苗生産施設建設の後押しに貢献した。
  2. 得られた成果は、海産の重要養殖対象種での人工種苗の周年確保の実現に活用できる。
図表1 235140-1.png
図表2 235140-2.png
図表3 235140-3.png
図表4 235140-4.png
カテゴリ コスト 出荷調整 低コスト

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