タイトル |
喫水線上の船型の影響を考慮した波浪中抵抗増加の計算 |
担当機関 |
(独)水産総合研究センター 水産工学研究所 |
研究期間 |
2006~2010 |
研究担当者 |
升也利一
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発行年度 |
2010 |
要約 |
漁船の一層の省エネルギー化を図るため、これまで船型改良の対象外とされてきた喫水線上の船型についても波浪中抵抗増加の低減という観点から検討を加えるべく、喫水線上の船型の影響を評価できる抵抗増加の計算法を開発し、数式船型に適用してその有効性を検討した。
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背景・ねらい |
漁船は一般商船に比べて船体規模が小さいために波浪による影響を受けやすく、波のある海面での船体の動揺や抵抗の増加が著しい。波浪による抵抗増加を低減するには、平水中の性能に影響を与えない喫水線上の船体に改良を加え、平水中性能を損なうことなく、波浪中性能を向上させることが考えられる。それにはまず通常の線形理論では考慮できない喫水線よりも上の船体形状の影響を評価できる波浪中船体抵抗の推定方法が必要である。本研究では、喫水線上の船型を考慮でき、沿岸漁船のような複雑な船型を持つ船舶に対しても容易に適用できる波浪中船体抵抗の評価方法を構築し、漁船のより一層の用エネルギー化を図る。
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成果の内容・特徴 |
喫水線上の船型の影響を考慮しながら取り扱い簡便な計算法とすべく、有限振幅の線形理論として定式化し、細長船の仮定と入射波が長波長規則波であるとの仮定を用いた。有限振幅の線形理論では、流場の周期性を利用することにより、時間領域問題を見かけ上周波数領域問題に置き換ることで、従来の線形理論で用いられてきた計算資産を有効に活用し、安定的に推定値を求めることが可能である。また、長波長入射波の仮定の下で、船型のどのパラメータが抵抗増加に最も寄与が大きいかを明らかにした。
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成果の活用面・留意点 |
「沿岸漁業現場対応型技術導入調査検討事業」において有効性が確認された喫水線上の船首楔状付加物のより有効な形状を求めるため、短波長入射波に対する計算法を開発する。波浪中の船体抵抗成分の内、平水中の造波抵抗に対応する成分は、従来の線形理論と同様に推定精度に推定精度に問題を生じる可能性があるため、何らかの補完的手段が必要である。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
省エネ・低コスト化
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