公海で漁獲されるサンマの成分特性とミール・魚油への利用法の検討

タイトル 公海で漁獲されるサンマの成分特性とミール・魚油への利用法の検討
担当機関 (独)水産総合研究センター 中央水産研究所
研究期間 2007~2009
研究担当者 金庭正樹
平岡芳信
木村メイコ
発行年度 2010
要約 公海で漁獲されるサンマの成分を調べ、その特徴を検討した。さらにカスケード利用を目的として小型サンマや加工残滓をミールや魚油として利用する方法を検討した。脂質にはEPAやDHAなどのPUFAやモノエン脂肪酸を多く含んでいた。脂質に不飽和脂肪酸が多く含まれるため、ミールとして利用する場合、抗酸化剤の添加が必要であることが明らかになった。
背景・ねらい 日本近海・公海には利用されていないサンマ資源が約35万トン存在するが、日本国内向けのサンマは現在漁獲されている分で十分であるので,これらの未利用サンマは輸出用などのグローバル商材としての利用が期待される。サンマのグローバル商材化を可能にするためには加工残滓や小型サンマを無駄にしないカスケード利用技術の構築を行うことが重要である。そこでサンマの漁獲地域や大きさなどの違いによる成分の違いを把握するとともに、サンマから製造したミールや魚油の性状について検討した。
成果の内容・特徴
  1. 5~7月に漁獲された公海サンマは、大型のもの、高緯度で漁獲されたものほど脂肪分が多かった(表1)。脂肪酸は20:1や22:1等のモノエン酸が多く、DHAは脂肪分が多くなるほど脂肪酸中の割合が低下していた(表2)。
  2. 公海サンマの魚体全体および残滓を原料にミールを試作した。残滓ミールは灰分が多くタンパク質が少なかった。サンマミールの製造では脂質の酸化が懸念されたため、試作ミールへの抗酸化剤の添加効果を検討した。抗酸化剤無添加では乾燥中にEPA、DHAが急激に減少し、貯蔵中も徐々に減少し続けたが、抗酸化剤の添加により乾燥中、貯蔵中のEPA、DHAの減少は抑えられた(図1)。
  3. 釧路近海で漁獲されたサンマを原料として魚油を製造した。魚油にはEPAやDHAなどのn-3系PUFAの他に20:1や22:1などのモノエン酸が多く含まれており、サンマ魚油の特徴を示していた。
  4. このサンマ魚油をBDF(バイオディーゼル燃料)やn-3系PUFAとして利用するため、飽和脂肪酸とPUFAの分画を検討した。尿素付加では飽和脂肪酸とPUFAの完全な分離が可能であった(表3)。一方、溶媒を用いない低温結晶化では、最終的に10℃で結晶化する画分と-20℃で結晶化しない画分を得た(表4)が濃縮効率はよくなかった。
成果の活用面・留意点 ミールを製造する場合には、乾燥前に抗酸化剤を添加することが高品質化に有効である。また、BDFとして利用するためには化学的な処理を施すBHD(Bio Hydro-fined Diesel)などへの加工が有効である。
図表1 235157-1.png
図表2 235157-2.png
図表3 235157-3.png
図表4 235157-4.png
図表5 235157-5.png
カテゴリ 加工 乾燥 輸出

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