水温制御によるバフンウニの配偶子形成抑制と卵巣中の残留プルケリミンの消失とプルケリミンの蓄積抑制

タイトル 水温制御によるバフンウニの配偶子形成抑制と卵巣中の残留プルケリミンの消失とプルケリミンの蓄積抑制
担当機関 (独)水産総合研究センター 中央水産研究所
研究期間 2008~2010
研究担当者 村田裕子
発行年度 2010
要約 未成熟期間の短いバフンウニの卵巣には苦味成分プルケリミンが多く蓄積し、食用とならない。そこで、水温制御によってバフンウニの配偶子形成を抑制し、未成熟期を長期化する方法について検討した。その結果、24-26℃なら配偶子形成を抑制し、プルケリミン含量も減少できるうえに身入りも良いことが明らかになった。
背景・ねらい これまでに、東北,北海道に生息するバフンウニが漁獲対象にならないのは苦味を有する成熟個体が通年存在するためであり、苦味のないバフンウニの生育には長い未成熟期が重要であると結論づけた。一般にウニ類の成熟は水温に大きく影響されると考えられている。そこで、本研究では水温制御によってバフンウニの配偶子形成を抑制し、未成熟期を長期化する方法について検討した。
成果の内容・特徴 石狩湾でバフンウニを5月に採集し、横浜の実験室へ移送した。余市町沿岸の平年水温によって2ヶ月間飼育した後、Control区(余市町沿岸水温)、24℃区、26℃区、28℃区の4つの水温区に分けて飼育を続けた。生のアラメ、カジメを給餌し、摂餌量を測定した。5、7、9、12月、3月に生殖巣指数、成熟度、卵巣中のプルケリミン(Pul)含量を測定した。生殖巣の成熟度は、採集時には成熟期と放卵放精後が主体であったが、7月と9月には全個体が未成熟期であった。12月にはControl区で全個体が配偶子形成初期または中期となったが、24℃区ではほとんどの個体、26℃区と28℃区では全個体が未成熟期のままであった。3月にはControl区のほとんどが成熟期となったのに対し、他の実験区では成熟期の個体は見られなかった。実験期間中、28℃区は摂餌量が他の試験区よりも少なく、生殖巣指数も低かった。以上の結果から、バフンウニを夏以降、24から26℃の水温で飼育することで未成熟期を長期化でき、身入りも良いことがわかった。卵巣中のPul含量は飼育開始の5月および7月で約1.0mg/100gであったが、12月ではControl区では2.0mg/100g以上の個体が多く、その平均値は5月、7月よりも高い値であった、これが、卵巣中の残留Pulと配偶子形成による新たなPulの蓄積であると示唆された。一方、24、26、28℃区はほとんどが0.5mg/100以下で、Pulを含まない個体も見られた。この結果から、配偶子形成抑制による、残留Pulの消失と新たなPulの蓄積抑制が確認された。
成果の活用面・留意点 水温を制御することで、配偶子形成抑制が可能な条件が明らかになった。今後は、採算性も考慮した、蓄養の実用試験が必要であるとともに、色、苦味以外の呈味の改善条件も検討も必要である。また、ウニの成熟は水温以外の環境条件による影響もあるとの説もあることから、それに着目した検討が必要である。
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図表2 235160-2.png
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