タイトル |
オイカワ人工産卵床の造成技術と増殖効果 |
担当機関 |
長野県水産試験場 |
研究期間 |
2007~2009 |
研究担当者 |
小川 滋
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発行年度 |
2010 |
要約 |
オイカワ人工産卵床の造成技術を開発し、産卵床造成による種苗供給効果を算定した。婚姻色を呈したオイカワの雄が現れた頃に、水深30cm前後の流れの緩やかな平瀬において、耕うんや覆砂によって直径1~2cmの礫の人工産卵床を造成する方法が適当であり、産卵床造成1㎡あたりの種苗供給効果は、生まれ年の秋の稚魚(約0.1g)で約390尾と算定された。
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背景・ねらい |
オイカワは、第5種共同漁業権魚種に含まれているが、県内では養殖実態が無く、放流用種苗の入手が難しいことから、義務増殖を履行するために、放流以外の増殖方法の開発が求められている。
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成果の内容・特徴 |
- 文献および野外の調査から、オイカワの産卵は、水深が30cm前後、流速は最大でも50cm/秒までの緩やかな流れの平瀬で、底質は砂が混じる小礫の河床で行われることが多く、水温が22℃を越える頃から始まり、25℃前後が最盛期となる(表1)。
- 水槽および河川における人工産卵床の造成実験から、産卵に適する底質は、自然河床から人のこぶし大より大きな礫を取り除き、深さ10cm度掘り返す耕うん状態(図1)か、または直径1cm前後の小礫(規格名:ビリ)を敷いた状態であることが分かった。
- 自然産卵場内に産卵床を造成することにより単位面積当たりの産卵数が増加するほか、自然産卵場の近くで河床が沈み石になっているため産卵に適さない河床において新たに産卵床を造成すると、より効果が高いことが分かった(図2、表2)。
- 耕うんによる人工産卵床1㎡あたりの産卵数は約700粒、ふ化仔魚数は約300尾だった(表3)。また、水槽内で飼育実験を行った結果、ふ化率は約50%、ふ化からの浮上率は約100%、生まれ年の秋(約0.1g)までの生残率は約60%だった。
- 産卵床造成1㎡あたりの種苗供給効果は、生まれ年の秋の稚魚(約0.1g)で約390尾と推定された。
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成果の活用面・留意点 |
- 内水面漁業協同組合が義務増殖を行うための技術資料として、また内水面漁場管理委員会が目標増殖量を算定する際の基礎資料として活用できる。
- 河川の流れを変えたり石の移動等は河川法上の「河川の現状変更」にあたり、原則的に河川管理者の許可が必要となるため、事前に河川管理者に相談する必要がある。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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図表5 |
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カテゴリ |
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