麻痺性貝毒原因種Alexandrium tamarenseの日周鉛直移動と毒量の変化

タイトル 麻痺性貝毒原因種Alexandrium tamarenseの日周鉛直移動と毒量の変化
担当機関 大阪府環境農林水産総合研究所
研究期間 2007~2007
研究担当者 山本圭吾
大美博昭
有山啓之
松山幸彦
発行年度 2010
要約 Alexandrium tamarense赤潮が確認された2007年春期に堺出島漁港で昼夜観測を行い、日周鉛直移動と環境、細胞毒量の変化を調査した。日中、遊泳細胞は表層に集中分布したが、日没後分散し、底層で密度が増加した。夜明け後は再び表層で増加しており、日周鉛直移動が確認された。細胞の毒組成に変化はなかったが、細胞毒量は日没以降夜明けまで増加傾向であった。
背景・ねらい 大阪湾では2002年春期にAlexandrium tamarenseを原因種とする規制値を大きく超えるアサリの毒化が初めて確認されて以来、毎年のように春期の毒化事例が報告されるようになった。近年は、アサリだけでなく、湾のやや沖合域に生息するアカガイ、トリガイなどにおいても毒化が確認されている。例年A. tamarenseは湾東部の沿岸部を中心として発生しており、比較的深い海域に生息するこれらの天然貝類で毒化が見られたことは原因種がその水深まで移動している可能性が示唆される。本研究では貝毒による被害防止の一助とするため、赤潮が確認された漁港において昼夜連続観測を行い、A. tamarenseの日周鉛直移動と環境および日周的な毒量の変化について調査した。
成果の内容・特徴
  1. 昼夜観測の結果、日中、遊泳細胞は表層に集中分布したが、日没後分散し、底層で密度が増加した。夜明け後は再び表層で増加しており、日周鉛直移動が確認された(図1,2)。
  2. 調査期間を通じてA. tamarese天然細胞の毒成分組成は、毒成分組成にほとんど変化は見られなかった。毒成分割合では弱毒成分であるC1, C2の割合が最も高く、約60mol%を占めていた。次に多かったのはGTX1, 4で、この4成分で全体の80~90mol%であった。これに続き、GTX2, 3、neoSTX、STXが微量成分として検出された(図3)。
  3. A. tamarense細胞あたり毒量は日没前後から徐々に上昇し、夜明け後には調査開始時の2.5倍の毒量となった。一方、連鎖細胞の割合は日没後減少傾向となり、調査終了時にはほとんど確認されなくなった(図4)。
成果の活用面・留意点 本成果により、毒は夜間に細胞内に蓄積すると推察され、高毒細胞が鉛直移動することで深所に分布するアカガイ等で貝毒のリスクが高くなることが示唆された。
図表1 235175-1.png
図表2 235175-2.png
図表3 235175-3.png
図表4 235175-4.png
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