タイトル |
閉殻力を指標としたアコヤガイの生理状態の評価 |
担当機関 |
三重県水産研究所 |
研究期間 |
2003~2007 |
研究担当者 |
青木秀夫
渥美貴史
西川久代
林 政博
岡本ちひろ
石川 卓
古丸 明
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発行年度 |
2009 |
要約 |
アコヤガイにおける閉殻力と軟体部諸形質・栄養成分との関係について調査し、閉殻力が本種の生理状態を反映する指標として有用であることを明らかにした。また、家系の異なるアコヤガイの閉殻力の季節変動特性および選抜育種実験から、閉殻力が遺伝形質であることを示した。
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背景・ねらい |
真珠養殖業では、真珠の生産性の向上を図るため、挿核後のアコヤガイの飼育管理技術の高度化に繋がる貝の生理的指標の探索、および優良アコヤガイの作出に係る育種技術の開発が課題となっていた。そこで、アコヤガイの閉殻力が生理状態を示す指標として有効かどうか調査するとともに、閉殻力の遺伝性について検討した。
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成果の内容・特徴 |
- 貝殻を閉じた状態のアコヤガイに開口器を差し込み、1cm開殻させるのに必要な荷重値を閉殻力(単位:重量kg)として定義するとともに、荷重計と開口器からなる閉殻力測定装置を考案・開発した(図1、特開2007-135532)。当該装置を用いることにより、アコヤガイを生かした状態で、簡易、迅速かつ低コストで閉殻力を測定できる。
- 閉殻力が強いアコヤガイ集団では、弱い集団に比べて夏季におけるへい死率が低く、また軟体部の肥満度が高く、閉殻筋のグリコーゲン量が多かった(図2および3)。このことから、閉殻力は本種の生理状態・栄養状態を反映する指標となることが示された。
- アコヤガイ集団における閉殻力の季節変動には家系間による差違が認められた。また、閉殻力を指標として選抜した親(強~弱群)を交配し、得られた第一世代の閉殻力は、親の値を反映していた。これらのことから、閉殻力が遺伝形質であることが示された。
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成果の活用面・留意点 |
- 閉殻力を指標としてアコヤガイの生理状態を的確に把握し、生理状態に応じた飼育管理を実践することにより、高品質真珠の増産や挿核後の母貝のへい死率の低減に繋がることが期待される。
- 閉殻力を指標としたアコヤガイの選抜育種技術を確立・実用化することで、高生残率で生理状態の優れた系統・家系を作出することが期待される。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
育種
管理技術
季節変動
低コスト
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