タイトル | 免疫磁気ビーズを用いた新しい冷水病菌検出法の開発 |
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担当機関 | (独)水産総合研究センター 養殖研究所 |
研究期間 | |
研究担当者 |
吉浦康寿 乙竹 充 |
発行年度 | 2009 |
要約 | 市販化されたワクチンがない現状では、冷水病の発症予防対策として、放流種苗の保菌検査は特に重要です。そこで、より高精度な保菌検査のために、冷水病菌だけを簡便で高感度に検出できる新しい冷水病菌検出法の開発を試みました。 |
背景・ねらい | 冷水病は多くの都道府県のアユ及びサケ科魚類で問題となっており、本症対策が各水産試験場及び漁連から強く求められています。市販化されたワクチンがない現状では、冷水病の発症予防対策として、放流種苗の保菌検査は特に重要です。しかし、保菌検査おいて陰性であった群を隔離飼育した場合でも、その後冷水病を発症する事例があり、「アユ冷水病対策協議会」の取りまとめにおいても、現行における保菌検査の検出感度(検出限界)の低さを解決すべき問題として指摘しています。また河川の水や底泥等の環境中からの菌検出は確立しておらず、検出手法の改良が必要と考えられています。そこで、我々は、雑菌やゴミなどの不純物を多く含み、かつ冷水病菌がほんの僅かしか存在しない場合でも、冷水病菌だけを簡便で高感度に検出できる免疫磁気ビーズを用いた新しい冷水病菌検出法の開発を試みました。 |
成果の内容・特徴 | 免疫磁気ビーズとPCRを組み合わせた冷水病菌検出法の概要を、図1に示します。次に、この免疫磁気ビーズ法と従来法を比較した結果、免疫磁気ビーズ法は、従来法に比べて検出限界レベルを百倍改善できることがわかりました(図2)。このことから、本免疫磁気ビーズを利用することにより、高感度な冷水病菌検出が可能であることを確認しました。 |
成果の活用面・留意点 | この成果をもとに、都道府県の水産試験場と連携し、実際のアユ種苗の保菌検査へ適用し、より精度の高い冷水病菌フリー種苗(冷水病菌を全く保菌しないアユ種苗)の作製を可能にする研究を進めています。また、本検出法は、保菌検査のみならず、河川の水、底泥、付着珪藻等の環境中からの菌検出へも適用できることから、河川での冷水病菌の疫学調査やモニタリングも可能になると考えています。今後、これらの研究を促進することで、河川における冷水病の発生を防除できると期待しています。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
カテゴリ | 病害虫 シカ 市販化 防除 モニタリング |