強度間伐作業マニュアルの作成

タイトル 強度間伐作業マニュアルの作成
担当機関 (独)森林総合研究所
研究期間
研究担当者 鳥居 厚志
奥田 史郎
佐藤 重穂
今冨 裕樹
鈴木 覚
藤原 健
広部 伸二
田中 良明
発行年度 2010
要約 間伐遅れ林分に対して強度な間伐を行った場合の、林分成長や材質への影響評価、風害や虫害のリスク評価、伐出コストダウンの推定、安全かつ効率的な作業システムの提言を行い、施業指針として取りまとめました。
背景・ねらい 林業の担い手不足や長引く木材不況のために、各地で間伐遅れなど手入れ不足のスギ・ヒノキ人工林が増加しています。人工林を手入れせずに放置すれば、水土保全機能などが損なわれるおそれがあります。そこで近年、本数間伐率 50%程度の強度間伐が実施されるようになりました。ただし強度間伐は、間伐遅れ林分への緊急治療としての実施効果は期待できますが、その一方で林分成長や材質への影響、虫害や風害のリスクなど解明されていない課題もあります。そこで、それらの不明点を解明するとともに、収益面でのメリットや安全で効率的な作業も検討し、強度間伐作業マニュアルを作成しました。
成果の内容・特徴

林分成長や材質への影響

一般的に、間伐を行うと林分成長量はいったん落ち込みますが、その後回復します。強度間伐(間伐率は本数ベースで40~50%)を行った場合でも間伐後6年程度で成長は回復し、通常の間伐(間伐率30%未満)と比べて成長量の違いはほとんどないか、または増加していました。また、間伐の有無や間伐の前後で材質を比較したところ、材の強度の指標である材密度や動的ヤング率に差は見られませんでした。スギでもヒノキでも通常の間伐と比べて、強度間伐が林木の成長や材質に悪影響を与える可能性はほとんどないと言えます。

虫害や風害のリスク

ヒノキ林で強度間伐を行なうとマスダクロホシタマムシによる立ち枯れが発生することがあります。四国地域で立ち枯れ事例を調査した結果、低標高(海抜600m以下)の南向き斜面(特に斜面上部)で立ち枯れの頻度が高いことがわかりました。一方、過密林分を強度間伐すると、強風時には風害リスクが増大するが、間伐率を抑えればリスクを軽減できると予測できました。虫害や風害を受けやすい立地条件では強度間伐を避け、複数回の通常間伐を行なった方がよい場合もあると言えます。

強度間伐施業の生産性とコスト削減

一般に強度間伐における集材作業は、「材の運搬をまとめる効果」が見込めるので、効率化やコストダウンが期待できます。スイングヤーダとH型架線を使用した作業システムで、伐採率の変化に応じて生産性やコストを計算できる手法を開発しました。試算例では、調査地の条件下で強度間伐を行った場合の生産性は、通常間伐の8m3/時から10m3/時に増加し、また集材費は1,250円/m3から1,000円/m3に低下し、20%のコストダウンとなると推定できました。

安全かつ効率的な作業システムの提案

間伐材の搬出作業では、スイングヤーダとプロセッサを組み合わせたシステムが活用されていますが、作業の安全性と生産効率の向上の両立は難しいものです。そこで、スイングヤーダの機体の転倒防止、無線方式を利用した荷はずし、スイングヤーダオペレータの省略を組み合わせた作業体系を提案します。

本研究は、交付金プロジェクト「管理水準低下人工林の機能向上のための強度間伐施業技術の開発」による成果です。
図表1 235197-1.png
カテゴリ コスト

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