タイトル | 衛星データを用いた森林被覆率の推定に必要なサンプリング率を明らかにする |
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担当機関 | (独)森林総合研究所 |
研究期間 | |
研究担当者 |
平田 泰雅 高橋 與明 |
発行年度 | 2011 |
要約 | ランドサット衛星画像から系統的に一定のエリアを抜き出すサンプリング手法により、国レベルでの森林被覆率を推定する場合に、サンプリング率が森林被覆率の推定値に与える影響を明らかにしました。 |
背景・ねらい | 熱帯林の減少など森林の状況やその変化を広域でとらえるためにはリモートセンシングは有効な技術です。国レベルでの森林被覆を把握するには、全域をくまなく解析する方法と、系統的に一定のエリアを抜き出して全体を推定するサンプリングによる方法があります。サンプリングによる方法は、サンプリング率がその推定値に影響します。そこで、オブジェクト指向型分類という手法で全国の森林被覆を求めたデータをもとに、サンプリング率を変えて森林被覆率を推定することにより、サンプリング率が森林被覆率の推定値に与える影響を調べました。その結果、森林被覆率を確実に推定するためには、20%以上のサンプリング率が必要であることが分かりました。 |
成果の内容・特徴 | 森林被覆率の推定現在、地球温暖化問題の中で、熱帯林の森林減少に注目が集まっています。このような森林の状況やその変化をとらえるためにはリモートセンシングが有効な技術です。国レベルでの森林被覆を把握するには、全域をくまなく解析して森林被覆図を作成する方法と、系統的に一定のエリアを抜き出して全体を推定するサンプリングによる方法があります。サンプリングによる方法は、森林被覆率を算出するのに適していますが、サンプリング率がその推定値に影響します。そこで、サンプリング率の違いが森林被覆率の推定値に与える影響を調べました。森林被覆図の作成30mの地上分解能をもつランドサット衛星画像を用いて、日本の離島をのぞく全域についてオブジェクト指向型分類という手法により土地被覆が同一とみなされる領域(オブジェクト)に分割し、それぞれのオブジェクトにおける光の反射の仕方の違いを利用して土地被覆分類を行いました。この土地被覆分類結果から森林被覆図を作成しました(図1)。サンプリング率の影響評価日本全国に対する森林被覆図を10km四方の方形に分割し、各方形での森林被覆率を計算しました(図2)。これらの方形をサンプリング率を変えて系統的に抽出して、それぞれのサンプリング率ごとに森林被覆率の平均を求め、サンプリング率と森林被覆率の推定値との関係を図にプロットして調べました(図3)。その結果、森林被覆率を確実に推定するためには、20%以上のサンプリング率が必要であることが分かりました。成果の活用国連食糧農業機関(FAO)では、1980年より世界の森林の現状やその変化に関する情報を提供することを目的として、世界森林資源評価を行っています。2010年の森林資源評価においては、ランドサット衛星を用いて緯度経度各1度毎に10km×10kmのサンプリングによるリモートセンシング資源調査を追加しています。日本では、森林総合研究所が本資源調査を担当しています。ここで得られた成果は、FAOにおけるリモートセンシング資源調査の意義を明らかにし、リモートセンシング資源調査における土地被覆分類のためのパラメータの決定に役立てられています。また、森林被覆が十分に把握されていない発展途上国で国レベルのサンプリングによる森林被覆率を推定する場合の指標となることが期待されます。本研究は「予算区分:運営交付金プロジェクト研究、課題名:次期枠組みの国際交渉に必要な森林の吸排出量算定手法の探索的研究」による成果です。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
図表3 | ![]() |
カテゴリ | リモートセンシング |