Q&A「森林と水の謎を解く」を公開

タイトル Q&A「森林と水の謎を解く」を公開
担当機関 (独)森林総合研究所
研究期間
研究担当者 藤枝基久
坪山良夫
金子真司
加藤正樹
志水俊夫
発行年度 2011
要約 森林総合研究所では、森林と水の関係についての研究成果を広く普及するために、Q&A形式に分かり易く取りまとめた「森林と水の謎を解く」をホームページに公開しました。
背景・ねらい わが国では、古くから「森林は水を育む」といわれ、森林と水の関係に社会的な関心が持たれています。森林総合研究所では、森林の状態と水の流出との関係を明らかにするため、1937年より宝川森林理水試験地など全国各地で水文観測を行い、森林伐採や植林が水の流出に及ぼす影響を試験してきました。
このたび、第2期中期計画までの研究成果をとりまとめて、緑のダムと言われる森林と水の関係を広く広報するために、Q&A形式に分かり易く取りまとめた「森林と水の謎を解く」をホームページに公開しました。この公開により、最新の研究成果にもとづいた森林と水の関係を体系的に理解されることが期待できます。
成果の内容・特徴

森林の水源かん養機能とは

森林は長い年月をかけて土壌を作ってきました。その土壌は降った雨を吸い込み隙間(孔隙)に水を貯えます。そのため、雨が降っても川は急激には増水しませんし、しばらく雨が降らなくとも流出がとだえることはありません。森林は土壌を通じて川の水を調節していますが、この働きを森林の水源かん養機能といい、近年では、緑のダムとも言われています。
水源かん養機能に対する社会的な関心は高いですが、一般市民を対象とした研究成果の体系的な普及は必ずしも十分ではありません。そこで、森林総合研究所は水源かん養機能についての既往の成果を広く普及するために、Q&A形式に分かり易く取りまとめホームページに公開しました。第1章「森林での水の動き」では、基本的な森林と水の関係について、第2章「森林の保水力」では、社会的に関心の高い保水力の調べ方やその大きさについて、第3章「森林の水質」では、森林と雨や渓流水の水質について、第4章「森林と水の流出」では、森林総合研究所が取り組んできた森林流域試験などから森林の変化と水について、解説しました。

森林での水の動き

地球規模でみると水は水蒸気、雨、雪と形を変えながら、地球の表面と大気の間を循環しています。大気中の水蒸気は、雨や雪となって地面に降り注ぎます(降水)。その一部は森林や土壌から蒸発散によって、大気へもどっていきます。残りは土壌に浸透して、河川や海に流出します。海から蒸発した水も、水蒸気として大気にもどります(図1)。
山地全体でみると森林にとどいた降水は、河川を流れる河川流、大気にもどる蒸発散、地中の深いところを浸透していく地下水流の3つの形態に分かれます(図2)。
森林内でみると森林に降った雨(林外雨)は、木の葉・枝や幹に付着します。森林内の地面にとどく雨(林内雨)は、樹冠通過雨と樹幹流からなります。樹冠通過雨は樹冠のすき間を通って地面に直接とどく雨水で、樹幹流は木の幹を伝わって地面にとどく雨水のことです。樹冠に付着した雨水は、地面にとどかずに蒸発します(図3)。
森林内の地面は浸透の良い土壌で覆われているため、台風のような強い雨の時でも、水が地面を流れる場所は限られます。地面にとどいた雨水は、土壌中の大小さまざまな孔隙に留まります。大きな孔隙にある水は速く移動し、降雨後、直ちに河川に流出します(直接流出)。一方、小さい孔隙にある水は遅く移動し、一時的に流域に貯留されて河川に流出します(基底流出)(図4)。
このように、森林では樹木と土壌の働きにより、河川の急激な増水を緩和するので、緑のダムとも言われています。

詳しくは、森林総合研究所のホームページ(http://www.ffpri.affrc.go.jp/qa/moritomizu/index.html)をご覧ください。
図表1 235223-1.png
図表2 235223-2.png
図表3 235223-3.png
図表4 235223-4.png
カテゴリ

こんにちは!お手伝いします。

メッセージを送信する

こんにちは!お手伝いします。

リサちゃんに問い合わせる