第二世代のマツノザイセンチュウ抵抗性品種を開発

タイトル 第二世代のマツノザイセンチュウ抵抗性品種を開発
担当機関 (独)森林総合研究所
研究期間
研究担当者 倉本 哲嗣
大平 峰子
松永 孝治
発行年度 2011
要約 マツノザイセンチュウ抵抗性クロマツ品種同士を交配して、その子供を育成し、より病原力の強いマツノザイセンチュウを接種するなどの検定を進め、格段に高い生存率を示す第二世代品種を初めて開発しました。
背景・ねらい これまでマツノザイセンチュウに強い抵抗性を持つクロマツ品種の開発に取り組んできましたが、より強い品種の開発が望まれていました。そこで、これまでに開発した品種同士を交配して子供を育成し、より強い病原力のマツノザイセンチュウを接種するなどして検定を進めた結果、これまでのものよりも格段に高い生存率を示す、健全な第二世代品種が開発できました。
成果の内容・特徴

松くい虫によるクロマツ林の被害

クロマツは海からの潮風に強く海岸部の環境によく適応できることから、古くから飛砂や潮害を防ぐための海岸林の造成に利用され、人々の生活や田畑を守ってきました。しかし、北海道を除く日本各地のクロマツ林で、一般に「松くい虫」と呼ばれる「マツ材線虫病」による被害が確認されており、クロマツ林が持つ防風、飛砂防止等の機能が損なわれるばかりでなく、景勝地のクロマツ林にも被害がおよび、景観を損なうなど、各種公益的機能の低下をきたしています。

松くい虫対策としての抵抗性クロマツ品種の開発

このマツ材線虫病による被害は、マツノザイセンチュウがマツの樹体内に侵入し繁殖することで生じることから、昭和53年からマツノザイセンチュウに強い抵抗性を持つクロマツ品種の開発に取り組んできました。九州地方では既に42品種が開発されており、その種子を利用して抵抗性クロマツ苗が供給されています。これまでの抵抗性品種(第一世代品種)は、被害を受けたマツ林の中で健全に生き残っていた個体を候補木として収集し、マツノザイセンチュウを人工的に接種し、被害が出ないものを選抜することで開発してきましたが、より強い抵抗性品種の開発が望まれていました。

より病気に強い第二世代抵抗性クロマツ品種の開発

これまでの研究から、クロマツの持つ抵抗性に関する能力の9割以上が遺伝によるものであること、そして親のもつ抵抗性の能力の6割以上が子供に伝えられることが明らかになったことから、抵抗性品種同士を交配した子供群では、抵抗性遺伝子が集積され、より強い抵抗性を持った個体の出現が期待できます。そこで、これまでの抵抗性品種同士を交配して子供を育成し、より強い病原力のマツノザイセンチュウを接種するなどして検定を進めた結果、これまでのものよりも格段に高い生存率を示す健全な品種を、平成22年度に全国で初めて九州育種場が開発しました(図1)。この第二世代品種は、これまでの接種検定では全く枯れないので(図2)、より強い線虫系統(図3)を用いた接種検定によって最終的に決定しました。
今後は、さらに第一世代品種同士の交配を進め、第二世代品種の多様性を高めるとともに、第二世代品種のクロマツ苗の供給に取り組んでいきます。
図表1 235246-1.png
図表2 235246-2.png
図表3 235246-3.png
カテゴリ 育種 抵抗性 抵抗性遺伝子 抵抗性品種 繁殖性改善 品種

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