出穂性の異なるIR64の準同質遺伝子系統群

タイトル 出穂性の異なるIR64の準同質遺伝子系統群
担当機関 (独)国際農林水産業研究センター
研究期間 2005~2011
研究担当者 小林伸哉
藤田大輔
石丸 努
福田善通
発行年度 2011
要約 イネ(Oryza sativa L.)品種IR64の遺伝的背景をもち到穂日数が異なる5つの準同質遺伝子系統は、IR64の栽培適応範囲の拡大や育種素材として活用できる。
キーワード イネ、準同質遺伝子系統、育種素材、到穂日数、IR64
背景・ねらい 国際稲研究所(IRRI)で育成されたインド型水稲品種IR64は、高品質で病虫害に強く、広く熱帯地域で普及している。IR64のさらなる遺伝的改良を通して発展途上国における食糧安定生産を実現するため、New Plant Type品種や日本型品種由来の有用遺伝子を導入し、到穂日数の異なる準同質遺伝子系統群を育成し、遺伝的要因を明らかにしつつ育種素材の開発あるいはIR64の栽培適応範囲の拡大を図る。
成果の内容・特徴
  1. IRRI(フィリピン)との共同研究で育成した準同質遺伝子系統群は、早生3、晩生2の合計5系統からなる(表1)。
  2. フィリピンの雨季栽培で、早生のものはIR64に比べて5日、晩生のものは10日ほどの違いがある。
  3. これらの準同質遺伝子系統群は、4種類の遺伝子供与親に由来する異なる5つの量的遺伝子座(QTL)をそれぞれ一個ずつ有する(図1)。
  4. それぞれのQTLは、第6(2系統)、8(1系統)、11(2系統)染色体上に座乗している。
成果の活用面・留意点
  1. 育成された系統は、各国で普及されているインド型品種のIR64が遺伝的背景となっていることから、熱帯等の環境条件に適しており、途上国での食糧安定生産に寄与する育種素材や品種候補系統として活用できる。
  2. またこれらの準同質遺伝子系統群は、これまでよりもIR64の栽培適応地域の拡大に役立てることができる。
  3. 到穂日数が早い系統は、高温や乾燥など非生物的ストレス回避型の育種素材として、到穂日数が遅い系統は高バイオマス・高収量の育種素材として活用できる。
  4. 育成された系統は、遺伝解析のほか遺伝子・環境相互作用解析などの実験材料として利用できる。
  5. 各QTLのDNAマーカー情報は、遺伝解析やマーカー選抜に活用できる。
  6. 出穂性以外の形質についてもIR64とは異なる系統もあり、導入したQTLの効果によるものか、あるいは導入した染色体領域上の他の遺伝子によるものかを確認する必要がある。
  7. 準同質遺伝系統の分譲については、JIRCAS技術促進科に問い合わせる。
図表1 235284-1.gif
図表2 235284-2.gif
研究内容 http://www.jircas.affrc.go.jp/kankoubutsu/seika/seika2011/2011_03.html
カテゴリ 病害虫 育種 乾燥 水稲 DNAマーカー 品種

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