AZF1とAZF2タンパク質は乾燥や塩ストレス下の植物の生長を制御している

タイトル AZF1とAZF2タンパク質は乾燥や塩ストレス下の植物の生長を制御している
担当機関 (独)国際農林水産業研究センター
研究期間 2011~2015
研究担当者 小平憲祐
圓山恭之進
藤田泰成
篠崎和子
発行年度 2011
要約 シロイヌナズナの環境ストレス誘導性ジンクフィンガー型転写因子をコードするAZF1およびAZF2遺伝子を過剰発現させた植物体は矮化する。これらの転写因子は乾燥や塩ストレス下における植物の生長制御において重要な役割を担うと考えられる。
キーワード 転写因子、乾燥、塩ストレス、生長制御、シロイヌナズナ
背景・ねらい 植物は干ばつや高塩濃度などの環境ストレスにさらされると、多くの遺伝子群の働きを調節することにより、生長や発達を制御して環境の変化に適応する。環境ストレス耐性を付与した植物の作出において、環境ストレス耐性遺伝子群の働きを調節している転写因子を過剰に発現させると、植物体に生育阻害を生じることが報告されているが、環境ストレス下で植物が生長を抑制する機構は解明されていない。本研究は、シロイヌナズナの環境ストレス誘導性ジンクフィンガー型転写因子の機能を解析することにより、乾燥、塩などの浸透圧ストレス下における植物の生長制御機構の解明を目指したものである。
成果の内容・特徴
  1. シロイヌナズナのC2H2型ジンクフィンガータンパク質をコードするAZF1AZF2遺伝子は、乾燥や塩などの浸透圧ストレス、および植物ホルモンであるアブシシン酸により発現が誘導される。
  2. 植物体においてAZF1およびAZF2タンパク質は細胞の核に局在している。これらのタンパク質の非ストレス時の蓄積は主に根で確認され、AZF2は塩ストレスにより葉でも蓄積する。
  3. AZF1AZF2遺伝子を恒常的に発現した形質転換体の作出は非常に困難であるため、外部刺激によりそれぞれの遺伝子を一過的に発現誘導することが可能な形質転換シロイヌナズナを作製し、発現誘導後の植物体の生育を観察すると、形質転換用ベクターのみを導入した対照の植物と比較して葉の形態異常を示し、顕著に矮化する(図1)。
  4. AZF1およびAZF2遺伝子をそれぞれ一過的に過剰発現させた形質転換体は、塩ストレスに対して高感受性を示す。
  5. 形質転換体における遺伝子の発現パターンを調べると、AZF1およびAZF2遺伝子の過剰発現体では、アブシシン酸のシグナルにより発現量が減少する多くの遺伝子の発現が抑制される。
  6. AZF1とAZF2タンパク質は、植物の細胞伸長への関与が示唆されるオーキシン早期応答性遺伝子であるSAURのプロモーター領域に直接結合して遺伝子発現を抑制する(図2)。
成果の活用面・留意点
  1. シロイヌナズナのAZF1とAZF2は、乾燥や塩ストレス下における植物の生長抑制に深く関与しており、環境ストレス下の植物の生長を人為的に制御する技術開発への応用が期待される。
  2. シロイヌナズナのAZF1やAZF2と、イネやダイズなど他の植物におけるそれらに類似したタンパク質の働きについて検証することが必要である。
図表1 235289-1.jpg
図表2 235289-2.gif
研究内容 http://www.jircas.affrc.go.jp/kankoubutsu/seika/seika2011/2011_08.html
カテゴリ 乾燥 大豆

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