タイトル |
熱帯の天水田向きいもち病抵抗性に関するインド型マルチライン稲品種 |
担当機関 |
(独)国際農林水産業研究センター |
研究期間 |
2011~2015 |
研究担当者 |
福田善通
小出陽平
柳原誠司
小林伸哉
加藤浩
井辺時雄
常松浩史
Leodegario A. Ebron
Mary Jeanie Telebanco-Yanoria
丸山幸夫
横尾政雄
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発行年度 |
2011 |
要約 |
イネ品種IR49830-7-1-2-2の遺伝的背景を持つ8種のいもち病抵抗性遺伝子を対象として育成した準同質遺伝子系統群は、熱帯地域に適応したインド型マルチライン(多系)品種として利用できる。
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キーワード |
イネ、インド型、マルチライン品種、いもち病抵抗性、IR49830-7-1-2-2
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背景・ねらい |
イネの生産において農薬の利用を少なくするため、遺伝的多様性を利用したいもち病害に対する新しい防除技術を開発する。このため熱帯地域の天水田を対象とした、インド型の遺伝的背景をもつマルチライン(多系)稲品種を育成する。
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成果の内容・特徴 |
- 国際稲研究所(IRRI)との共同研究で育成した準同質遺伝子系統群は、熱帯地域に適応した、世界で初めてのインド型品種の遺伝的背景を持つマルチライン品種として利用できる。
- これらは、天水田向けインド型品種IR49830-7-1-2-2の遺伝的背景に、8種のいもち病抵抗性遺伝子(Pik, Pi7(t), Pi3, Pi5, Pita-2, Piz-5, Pi9, Pish)を個々に導入した9種の準同質遺伝子系統から構成される。
- IR49830-7-1-2-2の遺伝的背景には、5種のいもち病抵抗性遺伝子(Pia, Pib, Pik-s, Pita, Pi11(t))を有する(図1)。
- 育成した準同質遺伝子系統は、IR49830-7-1-2-2の遺伝的背景と新規に導入した抵抗性遺伝子の組み合わさった反応を、標準判別いもち病菌菌系群に対して示す。
- 育成系統は、IRBLに続き、導入遺伝子、同遺伝子の供与親品種、天水田向け品種の遺伝的背景(Rainfed lowland: RL)を、それぞれの略号で命名されており、たとえばPikの遺伝子(k)をクサブエ(Ku)という品種から導入した系統名は、IRBLk-Ku[RL]となる。
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成果の活用面・留意点 |
- IR49830-7-1-2-2の9種の準同質遺伝子系統群は、インド型の遺伝的背景をもつマルチライン品種として熱帯地域の天水田に適する。
- 複対立遺伝子あるいは近傍に位置する遺伝子を導入した系統では、IR49830-7-1-2-2の元の遺伝子であるPik-sはPikとPi7(t)に、PitaはPita-2にそれぞれ組み換っている。
- IR49830-7-1-2-2は冠水耐性遺伝子(Sub1)を有するが、IRBL5-M[RL]は冠水耐性が弱く、第9染色体短腕端部に位置するSub1が同染色体領域に座乗するいもち病抵抗性遺伝子Pi5と組み換っている。
- これらの系統は、IR49830-7-1-2-2の背景のものも含めて、少なくとも6種以上のいもち病抵抗性遺伝子をそれぞれ有しており、遺伝子資源としても利用できる。
- 本マルチラインの導入のためには、農家圃場レベルでの準同質遺伝子系統群の混合栽培による実証試験を行い、多様性を利用することによるいもち病害の軽減に対する効果を確認していく必要がある。
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図表1 |
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研究内容 |
http://www.jircas.affrc.go.jp/kankoubutsu/seika/seika2011/2011_10.html
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カテゴリ |
病害虫
いもち病
水田
抵抗性
抵抗性遺伝子
農薬
品種
防除
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