一貫作業システムで地拵え ~植栽の大幅な作業効率の向上!

タイトル 一貫作業システムで地拵え ~植栽の大幅な作業効率の向上!
担当機関 (独)森林総合研究所
研究期間
研究担当者 佐々木 達也
中澤 昌彦
中村 松三
今冨 裕樹
岡 勝
発行年度 2012
要約 伐採・搬出から地拵え、苗木植栽までを連携して同時並行的に行う一貫作業システムを考案し、現地試験を行った結果、植栽等に関わる作業の効率が大幅に向上することを明らかにしました。
背景・ねらい 林業経営収支の悪化に伴う再造林放棄が問題になっています。持続的な林業経営を行うためには再造林コストの大幅な削減が不可欠となっています。しかし、路網整備・林業機械の導入による伐採・搬出コスト削減の取り組みに比べて、再造林コスト削減の取り組みは大きく立ち遅れていました。そこで従来型の地拵えや植栽の作業方法を抜本的に見直し、車両系伐出機械を活用した伐採・搬出~地拵え~植栽を連携して同時に行う『一貫作業システム』を考案しました。一貫作業システムの現地調査から、従来型作業に比べ大幅な作業効率の向上・省力化が可能であることを明らかにしました。
成果の内容・特徴

新しい一貫作業システムとは?

従来の方法では、伐採・搬出が終了し時間を置いた後、地拵えを行い、春(または秋)に植栽を実施します。伐採・搬出が終了するとそこで使用していた機械は次の現場へ移動してしまいます。したがって地拵え・植栽は人力で行うため、多くの労力と時間を要します。そこで、伐採・搬出で用いる機械を活用して、伐採・搬出と連携して地拵えを同時進行的に行い、地拵えを終えた箇所から順次植栽を行う作業システムを考案しました(図-1)。
作業の工程を具体的に示すと、立木の伐倒後、グラップルローダ等で木を引き寄せ、集め、プロセッサ(造材機械)で枝払い・玉切りを行い、フォワーダで丸太を搬出します。このシステムでは伐採・搬出作業中に、グラップルローダを地拵えに活用し、土場へ丸太を搬出したフォワーダはその帰りに苗木を伐採跡の植栽現場まで運搬します。このように従来人力で行っていた地拵えや苗木運びの作業に機械を活用することで、省力化(労力削減)を実現しました(図-2)。
このシステムでは、ほぼ一年中行われる伐採・搬出と組み合わせるため、植栽の季節が限定される従来の裸苗ではなく、どの季節でも植栽が可能なコンテナ苗を使用します。また、取り扱いやすく、植えやすいコンテナ苗を使用することで、作業能率も向上できます。
なお、この作業システムを用いるためには、林業機械が使用可能な場所であること、傾斜が0~30度程度であること、傾斜地では道(作業路網)が整備されていることが必要となります。

新しい作業システムの効果

現地調査は鹿児島県のスギ人工林皆伐作業地で行いました。その結果、従来型の人力作業による地拵えから植栽までは、平均で労働投入量が26.4人日/ha(地拵え13.5人日/ha、植栽12.9人日/ha)かかるのに対し、一貫作業システムでは3.5~4.5人日/ha(地拵え約1.5人日/ha、植栽約2.0~3.0人日/ha)で、従来型の13~17%で作業が済むことが判明しました。
再造林のより確実な実施(再造林放棄地の減少)のためにも当作業システムが普及することを期待します。

本研究は、「予算区分:農林水産技術会議、新たな農林水産政策を推進する実用技術開発事業、課題名:スギ再造林の低コスト化を目的とした育林コスト予測手法及び適地診断システムの開発」による成果です。
図表1 235325-1.gif
図表2 235325-2.jpg
研究内容 http://www.ffpri.affrc.go.jp/pubs/seikasenshu/2012/documents/p6-7.pdf
カテゴリ 経営管理 傾斜地 コスト 省力化 低コスト

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