タイトル | 全国の立木幹材積表の値を正確に表示する「幹材積計算プログラム」を開発 |
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担当機関 | (独)森林総合研究所 |
研究担当者 |
細田 和男 家原 敏郎 光田 靖 |
発行年度 | 2012 |
要約 | 地域の森林資源量の把握や収穫予測の基礎として使われている林野庁の立木幹材積表の値を、表計算ソフトで正確に表示するプログラムを開発し、ホームページで公開しました。 |
背景・ねらい | 国産材の安定供給体制を構築するには、まず地域や個々の林分がもつ森林資源の量を正確に把握し、将来の間伐や皆伐によって生産可能な木材の量を予測することが必要です。この際に重要な基礎資料の一つとなるのが幹材積表(かんざいせきひょう)です。本研究では林野庁計画課編「立木幹材積表 東日本編」および「立木幹材積表 西日本編」(いずれも昭和45年刊行、以下2編を合わせて単に「立木幹材積表」とする)に収録されている、全国83種類の幹材積表について、地域・樹種・胸高直径・樹高から、幹材積表の掲載値とほぼ同じ幹材積を算出するプログラムを開発し、公表しました。このプログラムは、表計算ソフトExcelのワークシート上で動作し、間伐調査や収穫調査の集計など、林業や森林行政の様々な場面での活用が期待されます。 |
成果の内容・特徴 | 幹材積表とは、地域・樹種・胸高直径・樹高の組み合わせごとに、樹木1本の平均的な幹材積(幹の体積)を示した表です。森林に現在ストックされている木材の量を把握し、また将来の間伐や皆伐によって収穫される木材の量を予測するのに不可欠な資料といえます。わが国においては、幹材積表の整備が戦後に本格化し、昭和45年に林野庁計画課編「立木幹材積表」として集大成されました。その後、都道府県によっては、より地域性を考慮し、あるいは長伐期に対応するなど新たな幹材積表も公表されていますが、主要樹種について全国を網羅した幹材積表としては、昭和45年の「立木幹材積表」が現在でも広く用いられています。プログラム開発の背景しかしながら、この「立木幹材積表」は東日本編・西日本編の2分冊、合わせて550ページあまりの冊子体で、あまり使い勝手がよいとはいえません(図1)。また個々の数値を調べると、手計算が主体であった時代に整備されたため、ごく一部ながら計算ミスや誤植なども混在していることがわかりました。一方、この幹材積表は現在普及している収穫予想表や林分密度管理図が整備された際にも利用されていることなどから、幹材積表を全面的に改訂することは多方面に影響を及ぼします。このため、「立木幹材積表」に掲載されている数値を正確に再現することを基本としつつ、パソコンが普及した現代にマッチしたプログラムの開発を目指しました。プログラム開発のポイント「立木幹材積表」に掲載された表の大部分は、二変数材積式とよばれる数式によって計算されています。ただし、胸高直径の範囲ごとに作られた数式の継ぎ目で、数値がなめらかに増減するように調整されていますので、単に数式を計算しただけでは「立木幹材積表」を正確に再現できません。今回開発したプログラム(図2)では、幹材積表が整備された当時の記録を詳細に再検討し、「立木幹材積表」に忠実に、しかも短時間で処理できるように計算手順を工夫しました。このプログラムにより、地域・樹種・胸高直径・樹高を指定すると、樹木1本の平均的な幹材積を、現行の「立木幹材積表」と矛盾せずに、ユーザーが希望する桁数で、瞬時に算出できるようになりました。間伐調査や収穫調査の集計など、林業や森林行政の様々な場面での活用が期待されます。 「幹材積計算プログラム」は森林総合研究所ホームページ(http://www.ffpri.affrc.go.jp/)からダウンロードできます。また研究内容の詳細は「森林計画学会誌」44巻2号、23~39ページをご覧ください。 本研究は「予算区分:森林総合研究所運営費交付金プロジェクト、課題名:国産材安定供給体制構築のための森林資源供給予測システム及び生産シナリオ評価手法の開発」による成果です。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
研究内容 | http://www.ffpri.affrc.go.jp/pubs/seikasenshu/2012/documents/p12-13.pdf |
カテゴリ | 収穫予測 ストック |