東北地方等におけるマツノザイセンチュウ抵抗性クロマツ品種の開発

タイトル 東北地方等におけるマツノザイセンチュウ抵抗性クロマツ品種の開発
担当機関 (独)森林総合研究所
研究期間
研究担当者 藤澤 義武
板鼻 直榮
久保田 正裕 ほか
発行年度 2012
要約 クロマツのマツノザイセンチュウ抵抗性品種の増加が望まれていた東北地方等において12品種を開発しました。これらは海岸林の再生等に資することが期待されます。
背景・ねらい クロマツは海岸林の景観や環境の保全に重要な樹種ですが、松くい虫被害で危機的な状況にあります。その対応策の一つとして、抵抗性品種の開発が進んでいますが、クロマツはもともとマツノザイセンチュウに弱いこと、最近になって急激に被害が北上したこと、東北地方や日本海側ではこの地域のクロマツの抵抗性品種が少ないことなどから、その開発の促進が求められていました。そこで、これらの地方で松くい虫激害地の生存木から種子等を集めて苗木を養成し、マツノザイセンチュウの接種検定を進め、12品種を開発しました。これらは海岸林の再生に資することが期待されます。
成果の内容・特徴

景観や環境を守るマツ林

クロマツ林は、海岸部での飛砂の害の防止、白砂青松といわれる景観維持のはたらきなど、古くから親しまれてきましたが、松くい虫被害により甚大な枯損が発生しています。この被害に対応するため、これまでに数多くの抵抗性品種が開発され、被害のあった地域に植栽するなど、海岸林の再生・維持や景観の保全に活用されています。また、未曾有の大災害である東日本大震災で失われた海岸林の再生に抵抗性品種の苗が求められているところです。
松くい虫被害はマツ材線虫病によって引き起こされ、抵抗性品種はその病原体であるマツノザイセンチュウに対して抵抗性を有しています。この線虫は北米原産といわれ、現地に自生するテーダマツなどは抵抗性を有しており、大きく枯れることはありません。抵抗性品種はこのテーダマツ並みの抵抗性をもつよう開発されたものです。

マツ林の再生を願って

松くい虫被害は、当初西日本の太平洋側に主として発生し、抵抗性品種が開発されましたが、近年になって被害が北上し、東北地方や日本海側に拡大してきました。この地域ではクロマツの抵抗性品種が少ないことから、抵抗性品種の開発が求められていました。
そこで、森林総合研究所ではこれらの地域でマツノザイセンチュウ抵抗性品種の開発を強化し、松くい虫激害地の生存木から種子等を集めて(写真1)苗木を養成し、マツノザイセンチュウの接種検定を進めた結果(写真2)、平成23年度には東北で6品種、関西の日本海側で6品種、計12品種の抵抗性クロマツ品種を開発することができました(写真3)。
抵抗性マツを生産するための採種園造成においては、自家受粉による悪影響を防ぎ、質の高い種子を生産するために、同じ品種が隣り合わないように最低9品種が必要となります。これまで、東北地方の日本海側の抵抗性クロマツは7品種しかなく、品種数不足により抵抗性品種の採種園が造成できませんでした。しかし、今回5品種が開発されたことにより合計12品種となり、採種園造成に必要となる品種数が確保されました。今後、松くい虫に強い海岸林の再生に必要な抵抗性クロマツ種苗の本格的な生産に取り組むことが可能となります。
図表1 235347-1.jpg
図表2 235347-2.jpg
図表3 235347-3.jpg
研究内容 http://www.ffpri.affrc.go.jp/pubs/seikasenshu/2012/documents/p50-51.pdf
カテゴリ 受粉 抵抗性 抵抗性品種 品種

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