ブタのゲノム及び遺伝子配列の高精度解読

タイトル ブタのゲノム及び遺伝子配列の高精度解読
担当機関 (独)農業生物資源研究所
研究期間 2007~2011
研究担当者 上西博英
両角岳哉
小川智子
金森裕之
土岐大輔
国際ブタゲノムシーケンシングコンソーシアム
発行年度 2012
要約 生物研が参加する国際ブタゲノム解読コンソーシアムは、ブタゲノムの約90%の塩基配列の高精度解読を行った。また約15,000個のブタ遺伝子の配列解読を行い、約25,000個のブタゲノム上の遺伝子の存在を明らかにした。
キーワード ゲノム塩基配列、遺伝子、ブタ、国際コンソーシアム、育種、モデル動物
背景・ねらい ブタにおける抗病性、高繁殖性、高成長性、良食味などの有用形質の改良を効率化するためには、ゲノム解読による原因遺伝子の単離が重要である。また、医療用実験動物としてのブタの開発においても、ゲノム塩基配列とともに正確な遺伝子配列情報が極めて有用な情報となる。本研究では、国際ブタゲノム解読コンソーシアム(SGSC)に参加し、ゲノム塩基配列の解読に貢献するとともに、ブタゲノム塩基配列上の遺伝子の配列(完全長cDNA)を正確に解読することによって、ブタ遺伝子の数や構造の正確な予測に貢献した。
成果の内容・特徴
  1. SGSCにおいて生物研と農林水産先端技術研究所(JATAFF研)の日本グループは、食肉生産において重要なデュロック種(図1)の第6および第7染色体の一部の解読を担当し、最終的にSGSC全体ではブタゲノム(約28億塩基)の約90%の配列を高精度で解読した(表1)。
  2. 日本グループは、様々な臓器や細胞を用いて完全長cDNAを収集し、31,079個の完全長cDNAの配列を解読した。
  3. 完全長cDNAの配列とSGSCで明らかにしたブタゲノムの概要塩基配列との比較からcDNAのブタゲノム上の位置を特定した(図2)。解読した完全長cDNAはおよそ15,000個の遺伝子に由来するものと推定され、ブタゲノム概要塩基配列上の25,000個の遺伝子予測に大きく貢献した。
  4. SGSCでは、世界各地のブタやイノシシのゲノムについても並行して解読を行い、デュロック種のゲノムとの比較を行った。その結果、イノシシのブタへの家畜化がヨーロッパと東アジアで独立に行われたことや、ヨーロッパとアジアのイノシシがおよそ100万年前に分かれたこと等、進化学的に興味深い知見が明らかになった。
成果の活用面・留意点
  1. 今回解読されたブタゲノムの塩基配列と、他の様々なブタ品種のゲノム塩基配列を比較することで、優良な形質と関連のある遺伝子の位置を明らかにできる。これにより、肉質、繁殖性、抗病性等に優れたブタを選抜する期間が大幅に短縮され、新品種開発の大幅な効率化と加速化が期待される。
  2. ブタの医薬品等の試験用動物としての利用や、臓器移植等の医学用モデル動物としての活用においては、ゲノムや遺伝子の詳細な情報を把握することが不可欠である。今回のブタゲノム塩基配列や遺伝子配列の網羅的な解明は、中型実験動物としてのブタの医療分野における利用の加速化に貢献できる。
図表1 235365-1.jpg
図表2 235365-2.gif
図表3 235365-3.gif
研究内容 http://www.nias.affrc.go.jp/seika/nias/h24/nias02409.html
カテゴリ 育種 新品種 繁殖性改善 品種 良食味

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