トビイロウンカの連鎖地図の作製

タイトル トビイロウンカの連鎖地図の作製
担当機関 (独)農業生物資源研究所
研究期間 2011~2012
研究担当者 Jairin Jirapong
小林徹也
山形悦透
真田(森村)幸代
森 一樹
田代康介
久原 哲
桑崎誠剛
瓜尾政博
末次克行
山本公子
松村正哉
安井 秀
発行年度 2012
要約 イネの最重要害虫であるトビイロウンカについて、DNAマーカーの染色体上の位置関係を示す連鎖地図を作製した。連鎖地図は17の連鎖群からなり、518のマイクロサテライト(SSR)マーカーと42の一塩基多型(SNP)マーカーが位置付けられている。
キーワード トビイロウンカ、連鎖地図、DNAマーカー、ゲノム情報
背景・ねらい トビイロウンカはイネを加害して枯らすだけでなく、イネのウイルス病も媒介する、アジア地域で最大のイネの害虫である。トビイロウンカの防除のため、殺虫剤による駆除やウンカの被害を受けない抵抗性イネ品種の導入が行われている。しかし、殺虫剤抵抗性やウンカ抵抗性イネ品種を加害できるウンカバイオタイプの出現が問題となっている。これらは遺伝的な形質であり、問題の解決には原因遺伝子を特定することが必要である。そのためには連鎖地図を利用したポジショナルクローニング法が有効であるが、これまでウンカ類ではDNAマーカーによる連鎖地図が整備されていなかった。
成果の内容・特徴
  1. 由来の異なる3つのトビイロウンカ系統(Hadano-66, Chikugo-89, Koshi-10)について、兄妹交配を行って近交系を作製した。これらの近交系を交配して戻し交配集団を2種類作成し、遺伝地図作製のための基盤材料とした。
  2. トビイロウンカのゲノムDNAと発現遺伝子データベースを解析して、マイクロサテライト(simple sequence repeat; SSR)とよばれる塩基の反復配列を含むDNA断片を多数確保し、DNAマーカーの候補とした。
  3. トビイロウンカのゲノムDNAを解析し、一塩基多型(single nucleotide polymorphism; SNP)とよばれる、系統間で塩基配列の異なる部位を多数検出し、DNAマーカーの候補とした。
  4. 近交系間で多型のあるSSRマーカーとSNPマーカーについて、戻し交配集団の各個体の遺伝子型を決定した。各マーカー間の組み換え価をもとに連鎖群を決定し、518のSSRマーカー(すでに論文化されているSSRマーカー(Jing et al. 2011)100を含む)と42のSNPマーカーからなる連鎖地図をトビイロウンカで初めて作製した(図1)。
  5. Y染色体マーカー等を利用して性染色体に対応する連鎖群を決定した。
  6. 得られたDNAマーカー等の情報はデータベース化し、ウェブサイトで公開した。
成果の活用面・留意点
  1. 連鎖地図の整備により、トビイロウンカのさまざまな形質を支配する遺伝子をポジショナルクローニング法で特定することが可能となった。このため、殺虫剤抵抗性やウンカ抵抗性イネを加害する能力の獲得などウンカの害虫化に関わる重要遺伝子の特定の加速化が期待される。
  2. 連鎖地図は17の連鎖群からなるが、トビイロウンカの染色体は15本であり、今後DNAマーカーを増やして連鎖群と染色体を完全に対応づける必要がある。
図表1 235368-1.gif
研究内容 http://www.nias.affrc.go.jp/seika/nias/h24/nias02412.html
カテゴリ 病害虫 害虫 データベース DNAマーカー 抵抗性 品種 防除

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