2010年のサンマ棒受網漁業の不漁原因

タイトル 2010年のサンマ棒受網漁業の不漁原因
担当機関 (独)水産総合研究センター 東北区水産研究所
研究期間 2010~2010
研究担当者 中神正康
巣山 哲
納谷美也子
発行年度 2011
要約 漁期前調査によるサンマの分布と漁期の旬別漁獲量、CPUEの変化を比較した。その結果、2010年漁期始めの極端な不漁原因は、漁期前の分布が2009年以前と比べて東に偏っていたことで、漁場への来遊が遅れたことと考えられた。また、高水温説、前年の中小型魚の乱獲説は不漁原因ではないと判断された
背景・ねらい 2010年のサンマ棒受網漁業による水揚数量は8月下旬~9月上旬には極端に少なく、その後増加したものの、漁期終了時では前年の6割の約19万トンに留まった。不漁原因については、高水温説、中小型魚の乱獲説が出されたものの、これらは漁期始めの水揚数量の低迷とその後の増加を説明するものではなかった。従って、漁況経過を明確に説明できる原因が求められた。
成果の内容・特徴 日本近海から西経165度までの調査が開始された2003年以降で、漁期前の分布密度と漁期中の旬別漁獲量、棒受網のCPUE(1網当たりの漁獲量)を比較し2010年の不漁原因を検討した。また、高水温説を検証するために漁場の表面水温とCPUEとの関係、中小型魚乱獲説を検証するために前年の0歳魚漁獲尾数と当年の1歳魚漁獲尾数との関係も調べた。2010年の旬別漁獲量は9月中旬まで、CPUEは9月上旬まで2003年以降最低値であったが、旬別漁獲量は9月下旬以降、CPUEは9月中旬以降には他年と比べて極端に低いレベルではなくなった(図1、2)。日本近海漁場へ来遊するサンマは、漁期前(6、7月)には東経155度以東に分布していることが示唆されている。2010年の漁期前のサンマの分布密度は、日本近海から東経170度以西では最低値であったが、東経170度以東では他年と比べて大きな違いはみられなかった(図3)。つまり2010年の漁期前の分布は2009年以前に比べて東に偏っていた。2003年以降の8月下旬に漁場となった海域に対する漁獲水温帯(11.7~17.5℃)面積の割合を比較すると、表面水温が高かった2006、2007年は2010年より低かった。しかしCPUEは両年とも2010年を上回った(図4)。また、前年の0歳魚漁獲尾数と当年の1歳魚漁獲尾数には相関関係は見いだせなかった(図5)。以上より2010年の不漁原因は、漁期前にサンマが2009年以前に比べ東に偏っていたことによる漁場への来遊遅れであり、高い漁場表面水温や前年の0歳魚の乱獲が原因とは考えられなかった。
成果の活用面・留意点 6、7月の西経165度までの海域によるサンマの密度及び東西方向の分布傾向を把握することにより、8月以降の日本近海漁場への来遊が早いか遅いかが推測できる。従って、8月のサンマ棒受網船解禁直後の出漁は、漁期前調査結果により、来遊時期に合わせた効率的な操業が可能となる。なお、漁期前のサンマの分布の特徴的な東偏は1年のみの結果なので、漁場への精度の高い来遊時期の予測には今後も毎年の調査が必要である。
図表1 235374-1.gif
図表2 235374-2.gif
図表3 235374-3.gif
図表4 235374-4.gif
図表5 235374-5.gif
研究内容 http://fra-seika.fra.affrc.go.jp/~dbmngr/cgi-bin/search/search_detail.cgi?RESULT_ID=3355&YEAR=2011
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