沿岸水温の長期的な変動と藻場の消長

タイトル 沿岸水温の長期的な変動と藻場の消長
担当機関 静岡県水産技術研究所
研究期間 2008~2010
研究担当者 安倍基温
発行年度 2011
要約 本県沿岸域における水温の長期的な変動と藻場の消長について検討した結果、秋から冬の水温上昇が長期的な水温の上昇に寄与していると考えられた。また、磯焼けは、黒潮大蛇行期のほか秋冬季の水温が高い時期にも発生しており、秋冬季の水温が高いと幼体の生長に不適であると考えられた。さらに、秋季水温が高くなることで、藻食性魚類による食害の期間が延長し、藻場の回復を遅らせると考えられた。
背景・ねらい 調査船などによる観測で得られた水温は、魚介類の資源変動要因を検討する上での判断材料であるとともに、地球温暖化といった地球規模の環境変動を解明するための資料としても不可欠である。そこで、本県沿岸域における水温の長期的な変動について把握する。
また、水温と藻場の消失との関連性を整理することで、温暖化によってどのような状況となりうるかを解析する。
成果の内容・特徴
  1. 本県沿岸域における表面水温は30年間に0.24℃上昇していた(図1)。季節別にみると、秋冬季に上昇していたのに対し、春夏季には上昇がみられなかったことから、秋から冬の水温上昇が長期的な水温の上昇に寄与しているものと考えられた(図2)。また、水深別にみると、50m以浅では水温が長期的に上昇しているのに対し、100m以深の水温は低下しており、それらの上昇、低下傾向は駿河湾の湾外でより顕著であった(図3)。
  2. 本県沿岸域におけるカジメ、サガラメ群落の消失(磯焼け)は、黒潮大蛇行による沿岸への暖水波及時及び秋冬季の水温が高い時期にも多く発生していた(図2)。秋冬季は幼体の出現時期にあたり、秋冬季の水温が高いほど幼体の生長に不適であると考えられた。また、秋季水温が高くなることで、磯焼けの持続要因と考えられるブダイやアイゴなどによる食害の期間が延長していると推察され、このことが磯焼けからの回復をさらに遅らせる要因になっていると考えられた。
  3. 秋冬季の水温は長期的に上昇傾向にあることから、今後、磯焼けの増加や既に消失してしまった藻場では回復の遅れが懸念される。
成果の活用面・留意点
  1. 水温と磯焼けとの関連については、表面水温を解析に用いたため、カジメやサガラメが分布している水深の水温よりも夏場は高く、冬場は低い傾向にあると考えられる。このため、カジメ、サガラメが分布している水深の水温を用い、さらに解析を進める必要がある。
  2. 地球温暖化を監視するためにも水温モニタリングを継続する必要がある。
図表1 235385-1.gif
図表2 235385-2.gif
図表3 235385-3.gif
研究内容 http://fra-seika.fra.affrc.go.jp/~dbmngr/cgi-bin/search/search_detail.cgi?RESULT_ID=3370&YEAR=2011
カテゴリ モニタリング

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